ロッテ高部瑛斗外野手(24)が2回、先制適時打を放った。出場51試合目で、57本目の安打。1番打者として56本の安打を放ち、これが8番打者での今季初Hランプとなった。

「ずっと1番で慣れていたので」としながら「やることは変わらないという気持ちで」と、阪神伊藤将のファーストストライクを鮮やかにレフトへ流した。

出塁すれば、盗塁もしっかりと決める。この日で15盗塁。リーグトップに並んだ。投高打低の傾向にある今季のパで、攻撃系の数値で上の方に名を連ねる。

「まず、1軍にこんなにいるということ自体が初めてなので、タイトルとか競ってるとかはあまり気にしてないですけど。初めてのこういうシーズンでどれだけできるのかというのを僕の中ではずっと課題にやっているので。こういう数字が重ねっていくというのは、僕の中でとてもプラスな材料にはなっています」

そう話す表情にも充実ぶりが現れる。東海大甲府(山梨)を経て、19年ドラフト3位で国士舘大から入団。プロ1年目、2年目はイースタン・リーグでは打率、盗塁で群を抜く成績を残した。一方、昨季は5度の2軍落ちも経験。“1軍半”から抜け出せずにいた。

昨オフはボールへの入り方も含め、打撃フォームを再度見直した。そういった技術面はもちろんのことながら、着実に数字を残し始めた今、“1軍半から1軍へ”の最大の要因を、本人はどう感じているのか。高部は「変わったことっていったら」と切り出し、続けた。

「自分ができることに集中してるってことだと思います。去年はすごい人を見て、こう打ちたいとか、欲がすごく出てたんですけど。今は自分ができることにフォーカスを当てて、自分のペースでやることを大切にしているので」

50試合以上を消化してもなお、自意識としては「与えられたチャンス」を生かす日々。「いい時も悪い時ももちろんあって、悪いなりにもどうにかいいものを」。背伸びせず、伸びている。【金子真仁】