矢野阪神が「日本生命セ・パ交流戦」の西武戦で今季13度目の完封負けを喫し、自力優勝の可能性が消滅した。54試合目での消滅は、球団では21世紀最速。ふがいない戦いの連続に、百北幸司球団社長は「非常にご心配をおかけして申し訳ない」とファンに謝罪した。主軸は4番佐藤輝明内野手(23)の内野安打1本だけと迫力を欠いた。貧打解消の打開策が見られないまま、歴史的な低迷から抜け出せない。

甲子園のスコアボードにむなしく0が並んだ。今季13度目となる完封負け。54試合目にして自力Vの可能性が早くも消滅した。ため息が充満する異様な雰囲気の中、百北球団社長が口を開いた。「まず、ファンの方に非常にご心配をおかけして申し訳ないというふうに思います」。まだ5月末というのに、球団社長がファンに対してざんげするという異例の事態。開幕から続くチームの苦境を物語っていた。

今季を象徴するようなゲームだった。初回から得点圏に走者を進めるも、本塁が遠い。初モノのルーキー左腕佐藤にてこずり、5回まで1安打無得点と抑え込まれた。6回には2死一、三塁と好機をつくり佐藤を引きずり下ろしたが、続く糸井が投ゴロ。矢野監督は「何かびっくりするようなボールがあるわけでもないんで。もうちょっとやっぱり、打っていかないとね…」と力なく話した。

矢野監督が今季限りの退任を表明して臨んだ就任4年目は開幕からチームが深い霧の中に迷い込んでしまったようだ。セ・リーグのワースト記録を更新する開幕9連敗の後、1勝を挟み、再び6連敗。開幕17試合を終えた時点でわずか1勝。勝率は0割6分3厘とプロ野球初となる数字だった。5月勝率5割をかけたこの日の試合も勝てず。歴史的な開幕のつまずきが大きく響いている。

課題は明らかだ。チーム防御率2・76はリーグ1位だが、チーム打率2割2分2厘は同ワースト。投高打低が顕著で、投手陣の奮闘を、野手陣が帳消しにしている。この夜も7回1失点と力投した西勇を見殺しに。何度も見飽きた光景が広がった。

自力優勝の可能性が消えた…。そう問われた矢野監督は「うん、頑張ります」とだけ話し、1分弱の会見を終えた。百北球団社長は「今日で残り90ゲームを切ったところ。十分に試合数は残っていますので、我々チームとしましては決して諦めることなく、前向きに戦っていきます。引き続きご声援お願いしたいと思っています」と頭を下げた。「イチにカケル!」のスローガンはどこにいったのか? 残り89試合。ファンに早々と消化試合を見せるわけにはいかない。【桝井聡】

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