5年ぶり出場の近大(関西学生)が1発攻勢で和歌山大(近畿学生)との「関西ダービー」を制した。1回に谷口嘉紀外野手(4年=神戸国際大付)が先制ソロ、1点を追う6回は代打の東原成悟内野手(3年=福知山成美)が逆転3ランで流れを引き寄せた。大商大(関西6大学)は延長10回タイブレークの末に富士大(北東北)に粘り勝った。

   ◇   ◇   ◇   

近大が豪快な1発攻勢で劣勢をはね返した。1点を追う6回1死一、二塁。直前の犠打失敗で、嫌なムードが流れていた。空気を変えたのは代打東原だ。左腕の内角高め速球をさばいて左翼席へ。チームを救う逆転3ランになった。

序盤から拙攻を重ねた。3度バントで送れず、2度の併殺打…。東原が「悪い流れが続いていた。何とか僕がひと振りで流れを変えるぞ」と話せば、采配的中の田中秀昌監督(65)も「(流れが)めちゃくちゃ悪い。ものの見事だった。1試合2本はなかなか出ない」と驚いた表情だった。

ナインは先輩だった佐藤輝(現阪神)の背中を見て育った。3学年後輩の東原はその打撃練習をチェック。「1球目から強く。合わせる打撃ではない」。一振りで仕留める意識を持ち、公式戦初アーチにつなげた。1回は谷口が左翼に先制ソロ。18年11月、明治神宮大会の筑波大戦で佐藤が放って以来、4年ぶりの近大勢の全国アーチだった。強豪が底力を見せた。