オリックス増井浩俊投手(37)の偉業達成はならず、チームは交流戦連覇を逃した。

NPB史上初の快記録に挑んだヤクルト戦。今季初登板初先発でヤクルトから先発勝利を挙げれば、前人未到の「12球団勝利&12球団セーブ&12球団ホールド」を達成する。「なかなかチャンスはない。悔いの残らないようにやりたい」と、増井は気力をみなぎらせていた。

初回は塩見、山田から三振を奪い、3人で終わらせる滑り出し。2回は先頭の村上に初安打を許したが、オスナを右飛に抑え、捕手の伏見が一塁走者・村上の二盗を阻止。危機は去ったかに見えた。

だが、今季初めて出場選手登録され「6番左翼」で先発の坂口に四球。2死からのこの四球が、命取りになった。内山壮、奥村に連打を浴び、2点を失った。

チームにとっても大事な一戦。この日の試合を落とせば、最終カードの阪神戦を残して交流戦連覇が消える。負けられない試合で、37歳の右腕は懸命に腕を振った。

4回に味方打線が反撃し、伏見の適時打で1点を返した。だが5回にまたピンチを招いた。先頭・奥村の安打と山崎への与四球などで2死二、三塁。投手コーチがブルペンと話し始め、ベンチ内もざわつき始めた。その正念場で、増井は伏見のミットに渾身(こんしん)のこの日最速151キロの速球を投げ込んだ。山田のバットは空を切った。ピンチを脱した右腕は、チームメートのねぎらいの拍手に迎えられた。その裏、オリックスも1死三塁の同点機を迎えたが、あと1本が出ず。増井を援護できなかった。

5回2失点で降板した増井は「2回のところは、2アウトから四球、長打と失点の仕方がよくなかったと思います。それでも(伏見)寅威が盗塁を刺してくれたり、野手に助けてもらったことで、なんとか粘り強く投げることができたと思います」と味方の攻守の支えに感謝した。

ヤクルトの継投の前にあと1点を奪えず、かわされた。この日の敗戦で、連覇の可能性がなくなった。

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