思いを背負って投げる-。楽天則本昂大投手(31)が「日本生命セ・パ交流戦」の巨人戦で7回6安打2失点と力投し、通算100勝を達成した。史上141人目。球団生え抜きでは田中将に次いで2人目の記録となった。

入団1年目の13年に15勝を挙げて新人王。10年間、チームの最前線で腕を振ってきた。この日は史上182人目の通算1500投球回も達成。区切りの記録が続いたが、悲願はルーキーイヤー以来の優勝だ。東北をもう1度、沸かせるため、さらに白星を積み上げる。

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試合前の土砂降りが上がり、晴れ間が差し込んできたマウンドで、則本は1回から全力で腕を振った。初球、丸に対して151キロ直球で空振り。2回先頭の岡本和には、今季最速の153キロで一邪飛。150キロ超えを連発し、力で押した。6、7回に1点ずつを失ったが、7回6安打2失点7奪三振。テレビで試合を見て育ってきた巨人を相手に区切りの勝利。「その相手で達成できたことはすごくうれしいですし感動しています」と笑顔を見せた。

球界を代表する投手に成長したが、野球への恩返しを忘れない。経済的な理由で教育やスポーツの学びの機会を得られない子どもたちの支援を続けている。19年は背番号14にちなみ140万円。20年からは投球回ごとに1万円を寄付。「僕自身、子どものころはなかなか裕福ではなく、その中でも親に野球を続けさせてもらってここまで来ることができました」。たくさんの支えがあったからこそ、感謝と恩返しは忘れない。

もちろん、一番の恩返しは勝利を届けることだ。チームのため、ファンのため、子どもたちのため。「1年目に優勝してそこからなかなか優勝から遠ざかって、今年10年目。もう1回東北の皆さんと一緒に喜び合いたい。とにかく強い楽天イーグルスを、この先も東北のファンの皆さんに見せていけたら」と力を込める。

悲願達成へ。この日もあくまで通過点。歩みを止めるわけにはいかない。「ここが限界だと思わず常にやり続けたい。年を取っても向上心をなくさないようにやっていきたい」。みんなの喜ぶ顔を想像しながら、ひたむきに努力を続けていく。【湯本勝大】

▽楽天石井GM兼監督(通算100勝の則本に)「100勝なんて先発で回っていれば誰でもできる。ただノリが目指している場所はそこじゃない。200勝まで行けるのか、どこまで近づけるのかっていうところに期待している。ノリだったら通過点の手前の通過点じゃないかな」

○…巨人に連勝で、交流戦を9勝9敗の5割で終えた。得点力不足に苦しみ、一時は首位の座を明け渡したが、11日に奪還。2位ソフトバンクとの差を1.5とした。トンネルを抜けたかのように見えるが、石井GM兼監督は「また違う困難が来ると思うが、それに立ち向かっていかないといけない。どれだけ苦しみながら頑張れたかというところがチーム力として反映する。みんなで苦しめればいいかな」と表情を緩めなかった。

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