ソフトバンク大関友久投手(24)が、横綱相撲の投球で押し切った。日本ハム打線を相手に、2死三塁のピンチを背負った2回以外は、二塁すら踏ませない危なげない投球で自身初の無四球完封勝利を挙げた。

「完封はやっぱり特別な感じがして、すごくうれしいです」。今季2度目の完封はリーグ一番乗り。シーズン複数完封は球団では19年の千賀以来で、左腕では15年大隣以来だ。

ここ3試合、白星に恵まれなかった。いずれもリードを保ち、勝利投手の権利を手にしながら、降板後にチームが追いつかれていた。「流れをなかなか、自分の投球でも作ることができていなかった。今日の試合はテンポよく、流れよくという気持ちで投げました」。この日はわずか102球で最後まで投げきり、約1カ月ぶりの5勝目を自力でもぎ取った。

19年育成ドラフト2位での入団から昨年支配下登録され、今年プロ初勝利を挙げたばかり。だが、今や先発ローテーションに欠かせない左腕となってきた。藤本監督は「今年一のピッチングをしてくれた。ずっとゲームを作ってくれているんで、本当やったら2つ3つ勝ちが付いていてもおかしくないところ。これからもすごく期待しています」と絶賛。「関脇くらいに上がったということにしときましょうか」と、名字に引っかけてたたえた。

連勝で2位楽天とのゲーム差を1・5に広げ、首位をがっちりキープ。チームもリーグVまで、このまま寄り切りたい。【山本大地】

○…ソフトバンク大関は低く渋い声を持つ。SNS上ではイケメンボイスの意味合いを持つ「イケボ」と称されてきた。そんな魅力的な声帯は、2度にわたる声変わりから生まれた。

茨城・土浦湖北高時代、練習で声を出しすぎたあまり、声が出なくなった時期がある。それでも「ちょっと無理して、ずっと声を出していました」。夏の大会が終わり、引退後に声帯は復活したが「そしたら、また声が変わってたんですよ」と話す。1度目の声変わりから、さらに重みのある低音ボイスになった。高校時代の熱狂的な練習がなければ、今の声はない。

本拠地のお立ち台。好リードの捕手海野には、バリトンボイスで「ありがとう」。無数のフラッシュライトを浴びながら「イケボ」で感謝した。鷹の左のエース候補は、とにかく渋い。【ソフトバンク担当=只松憲】

○…今季、先発初マスクとなった海野が攻守に活躍した。守っては同期入団の先発大関を好リード。無四球の完封勝利に導いた。打撃でも2回に右前打すると、4回1死二、三塁から三ゴロ(記録は野選)ながら今宮をホームに迎え入れる決勝打。「コンタクトをしっかりして、状況に応じた打撃をしないといけない立場。それがいい方向に行っているのかなと思う」。正捕手・甲斐の存在が大きく、出番が限られるが、しっかり存在感を示した。

○…牧原大がダメ押しの1発を放った。8回、先頭で左腕河野のカーブを右翼スタンドに運び去った。「自分のスイングをしようと打席に入りました。カーブに体が反応して、(体を)ためて打つことができました」。17日の楽天戦(ペイペイドーム)以来、6試合ぶりの1発は自己最多となる5号弾。先発5番となって3試合目に価値あるアーチを放ち「終盤に大きい追加点を取ることができて良かった」と笑顔だった。

ソフトバンク三森(4回に2点目となる犠飛)「最低限の犠牲フライでランナーをかえすことができて良かったです。ゼキさん(大関)がテンポよく抑えてくれていたので、いい流れの中で打席に入ることができました」

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