阪神近本光司外野手(27)が再進撃の1号2ランで8得点大勝を導いた。1点リードの6回1死一塁。ヤクルト先発高梨の真ん中に入った140キロ直球を豪快に右翼席中段付近まで運んだ。「浮いてきた真っすぐを1発で仕留めることができ、ヤギ(青柳)さんを援護できてよかったです」。30試合連続安打ストップから一夜明け。そのの“刀”はさびるどころかより研ぎ澄まされていた。

5月28日のロッテ戦(ZOZOマリン)から安打を積み重ね、連続試合安打はマートンの球団記録「30」に並んだ。だが、更新の期待がかかった7日の広島戦(甲子園)はアンダーソンと栗林の前に4打数無安打。高橋慶彦の日本記録「33」を追う夢は破れた。「こんだけ長いプロ野球の歴史で名前が載るのは、すごく光栄」としつつ、悔しさも募った。「『やっぱりそこで止まっちゃう自分なんだな』って。ここで打てない人間なんだなって。普通の選手だなって思いながら守ってました(笑い)」。メンタルがガクンと落ちても仕方ない。だが、そのハートは強かった。今季1号は4年目で特別遅い83試合目。“七夕の無念”を最高の形で晴らした。

新しい自分をイメージしてヤクルト戦に臨んでいた。「前までは記録のこともあったんで」。記録継続へ、センターから逆方向を意識していたという。だが、この日はまっさらな気持ちで「3番らしく」。右翼方向への力強い打球を意識。思い描いた通りの打撃が本塁打となって結実した。「やりたいことができたのは良かったですし、勝ったんでよかった」。1日休んだスマイルも晴れて復活だ。

初回の1点先制後、0行進が続いていた打線は一気に元気づけられた。7回には自身の押し出し四球や大山の適時打など、打者10人の猛攻で一挙5得点。6試合ぶりの2桁安打と8得点で、首位軍団を圧倒した。不屈のヒットマンが再出発のアーチから、新たな伝説を築く。【三宅ひとみ】

○…大山が63打点をマークし、巨人岡本和を抜いて単独2位に浮上した。5点リードの7回2死満塁。柴田に詰まらされながらも中前に落とし、2者を迎え入れ勝利を決定づけた。「何が起こるか分からない球場。何点あってもいいので取れる場面でしっかり1本出せてよかったです」。29打点を挙げた絶好調の6月に続いて、7月も6試合で7打点のハイペースだ。

○…糸原がとどめの8点目をたたき出した。7回、島田と大山の適時打などで4点を加え、なお2死一、三塁で投手柴田のグラブをはじく適時内野安打。全力で走ってセーフをもぎ取り、この回一挙5点で8-0と突き放した。「いい流れで回ってきた打席だったので、積極的に打ちにいきました。泥臭い形でも適時打になってくれてよかったです」と振り返った。

○…島田が貴重な働きで勝利に貢献した。初回の先制後無得点が続いていた6回1死で、投手高梨の前に絶妙なセーフティーバントを成功。続く近本の2ランを導いた。7回は1死満塁で三遊間をしぶとく抜いて4点目をたたき出した。「きれいな形でなくても、何とかチームのために自分ができることをしたいと思っていた。追加点を取れてよかった」と笑顔だった。

【関連記事】阪神ニュース一覧>>