全セの阪神青柳晃洋投手が3度目の球宴で初先発し、両リーグトップ11勝の実力を披露した。

初回にソフトバンク柳田に6球すべて速球で押し、空振り三振に奪った。1死一塁では、オリックス吉田正を一ゴロ併殺に仕留めた。2回には西武山川に左中間へソロ被弾し、球宴初失点にも「あんなに気持ちいいホームランは久々に打たれました。あんなにきれいに打たれたら称賛しかないです」と心から敬意を表した。2回1失点に悔しさと充実感が交錯した。

試合前には中日大野雄と談笑。5月6日、9回までパーフェクト投球を続けた左腕に対し、無失点で渡り合ったことが話題になった。「ファンの方から『お前のせいで完全試合がなくなった』と言われました」。そう言うと、大野雄はやさしく「ヤギさんもいいピッチングをしていたから乗っていけたよ。ヤギさんのせいじゃない」と返してくれた。他球団のエースと心を通わせ、より高みへ向かう糧を得た。

野球エリートではなかった男が夢の舞台で先発の大役を務めた。「送球難とか守備がへただったりとか、課題がある中で成長していくというのは年々ある。そういう姿で見ているファンを勇気づけられたらうれしい」。青柳の33球は、きっと多くの人の心に響いたはずだ。【中野椋】

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