延長12回の死闘の末に、貯金1の「壁」を破った。立役者はラオウだ。3点を追う9回無死一、二塁。左翼ポール際に伸びる白球を見届け、確信歩きを続けた。スタンドインの瞬間、オリックス杉本裕太郎はバットを手放した。カウント3-2からロッテ益田の6球目スライダーを完璧に捉えた。13号同点3ランは今季初の1試合2発。「甘い球が来るのを我慢しながら打てた。一発で仕留められた」。三塁側ベンチ前で渾身(こんしん)の「昇天ポーズ」を披露した。

今季は春先の打撃不振もあり、球宴に選出されず。昨年は初めて夢の舞台に立ち、本塁打も記録しただけに「来年また、出られるように頑張ります!」と新たな決意表明をしていた。

そんな休養明けの初戦。初回には12号2ランを放った。杉本は「リフレッシュできた。休むって大事」と笑う。昨季の東京五輪ブレーク後の初戦、8月13日ロッテ戦の初打席でも本塁打を放っていた。

今季パ・リーグ最長の4時間36分の死闘を制し、今季最多の貯金2。貯金1で迎えた試合は、これまで3度あったが、いずれも敗戦。しかも5連敗、7連敗、6連敗と大型連敗と苦しんでおり、ラオウの2発が“呪縛”を解いた。中嶋監督は「本当に起死回生。素晴らしい」と褒めた。昇天連発で、5位から3位に浮上。潮目が変わった。【真柴健】

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