ロッテ鈴木昭汰投手(23)が今季初先発した。4回途中3失点だった。低めコーナーを球威豊かに突いたが、わずかなズレでの四球から崩れた。

井口資仁監督(47)は「自分の思った真っすぐをどんどん放って勝負している姿は、点は取られましたけど、いい形で映ったんじゃないかなと思います」と持ち味を出したことに一定の評価は与えた。

20年ドラフト1位左腕は、プロ2年目は開幕直後にリリーフで失敗が続き、防御率16・20での2軍落ち。「最初はもう、思い出したくないっすね」というほどの状況から球威を戻し、夏場に戻ってきた。

1軍への道筋に、大きな刺激があった。横浜(神奈川)に通う弟の楓汰さん(2年)が夏の甲子園への出場を決め、敗れた2回戦の聖光学院(福島)戦では1/3イニングのみながら、マウンドにも上がった。兄は練習中。試合後にダイジェストの動画で勇姿を見た。

「弟なんで、注目というか結果は気になっていたので。投げて、負けちゃったっすけど、何て言うんですかね、やる場は違えど、刺激をもらえたっていうか。僕ももっと頑張らないとなっていう気持ちがすごく、弟を見てて強くなりました」

学年でいうと7つ離れている。鈴木が常総学院(茨城)を卒業し、法大に進学してから、もう一緒には暮らしてはいない。会うのは帰省時くらい。「だからもう、いつの間にか背が抜かされて。弟は182、183センチあるので」と笑う。

大学時代にキャッチボールはしたが、まだ弟相手に本気で投げることははばかられた。そんな弟が、どんどん大きくなっていった。

「年が離れすぎている分、野球で刺激をもらうことがなかったので。高校生になって、大人と子どもの野球感が近づいたじゃないですけど。野球の話もできるようになって。刺激はすごくもらってますね」

甲子園では初戦の前に連絡し、敗れた後はLINEもした。「ありがとう、頑張る、の塩対応ですね」と笑った。なかなか会えなくても、それぞれの世界で腕を振る。【金子真仁】