ソフトバンクが8月29日以来、4日ぶりのパ・リーグトップに返り咲いた。今宮健太内野手(31)の1発が打線の沈黙を破り、西武との首位攻防3連戦初戦に快勝。0差ながら勝率1厘差でライバルを上回った。

前カードのロッテ3連戦で3連敗を喫したチームは、貧打に陥っていた。試合前時点で26イニング連続無得点。この日も4回まで西武先発の松本に抑えられ、0行進が30イニング連続まで延びていた。5回先頭で打席に立ったのが今宮だ。フルカウントから、右腕の直球をとらえ、左翼スタンドへ会心の先制4号ソロ。「とにかくコンタクトすることだけを考えました」。前日1日から5番に入る選手会長が、チーム31イニングぶりとなる得点をもたらし、これが決勝点になった。

今宮は今季、新型コロナ濃厚接触による約1週間の離脱があったが、ほぼフルシーズンを戦っている。「運がいいですね。運ですよ。大きなケガなくここまでこられているのはすごくいいこと。ここまで来たら痛い、かゆい、きついは言ってられない。気持ち1本ですね。やるか、やるかしかない」。8月中旬から、新型コロナウイルス陽性による主力の離脱が相次いだ期間も、若手中心のチームを引っ張ってきた。

大事な首位攻防3連戦のアタマを取り、首位奪還を決めた。藤本監督は「今日の試合は本当に大事な試合。3連戦の初戦で、連敗中だったこともあるし、なんとか勝ちたい思いが強かった。明日も全力で、この3連戦は特に全力でやっていきたい」と引き締めた。この勢いで一気の首位固めといきたい。【山本大地】

 

○…東浜が負傷降板しながらも先発の責任を果たし、5年ぶりの2ケタ勝利に王手をかけた。6回2死一、二塁から呉庭念のゴロ処理(結果は内野安打)で右足を負傷。満塁としてマウンドを松本に譲ったが、5回2/3を4安打無失点。「1点も与えないつもりで投げました。あの厳しい場面を抑えてくれた松本には感謝したいです」。緊急登板した松本にお礼を言いつつ、大事な首位攻防戦の初戦を取ってほっとした表情。軽傷の見立てで次回登板には影響がないとみられる。

○…2番手松本の好投が光った。1点リードの6回、2死満塁にされたところで、先発東浜が負傷交代。緊急救援した右腕は、栗山を4球連続150キロ超の直球でカウント1-2と追い込み、最後はフォークで空振り三振に切った。「(森山投手コーチに)『力勝負で押してこい』と言われた。思い切って腕を振った。いい緊張感の中で投げることができました」。胃腸炎からの戦列復帰マウンドで強心臓を見せた。藤本監督も「一番しんどかったのは松本と思う」と陰のヒーローをたたえた。

○…新型コロナウイルス陽性を受けて離脱していた柳田が、8月23日以来10日ぶりに1軍に帰ってきた。前日1日にウエスタン・リーグの阪神戦(タマスタ筑後)で実戦復帰したばかりだったが、チームが連敗が続き、藤本監督が「起爆剤に」と緊急昇格を決めた。14年以来となる6番に入り、3打席に立って無安打1四球。柳田は「とにかくケガなく、チームが勝つことができたのが何よりです」と振り返った。

▽ソフトバンク三森(7回に4点目の中前タイムリー)「打ったのはフォークです。チャンスでランナーをかえすことだけを考えました。とにかく結果で応えることができて良かったです」