ノムさん超えの1発で打線に火を付けた。ヤクルト村上宗隆内野手(22)が2回先頭で先制の53号ソロを放った。63年野村(南海)、85年落合(ロッテ)の52本を上回り、歴代単独6位となった。この1本が打線に火を付け、計11安打7得点で広島に打ち勝った。2位DeNAも勝ったため、優勝マジック再々点灯は最短10日に持ち越されたが、村神様のバットに乗って5連戦の頭を取った。

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まさに一振りだった。2回先頭、村上はカウント1-1から広島大瀬良のスライダーを捉えた。バックスクリーンへ放り込む53号先制ソロ。「なんとか先に点を取ってチームに勢いをつけたかった。先制点につながる打撃ができてよかったです」。ダイヤモンドを1周すると、サンタナとお決まりのロータッチ。つば九郎ともカメラに納まり、ニッコリ笑った。

相手バッテリーの苦心を簡単に打ち砕いた。初球、内角ギリギリの141キロカットボールを悠然と見送り。2球目、114キロカーブはワンバウンド。そして、3球目。捕手の会沢は内側に構えたが、外寄りに入った打ちごろの126キロスライダーを見逃すはずもない。カット、カーブ、スライダーと球速帯の異なる3球種の曲がり球で攻められても、村神様に制球ミスは命取りだ。

チームに勢いを-。願ったとおりの1発で7得点の先鞭(せんべん)をつけた。が、その打球を正面から見届けられた人はいない。無人のバックスクリーンに飛び込んだから。いったい、どれほどの勢いで飛んでくるのか…。近くお披露目となりそうだ。

この日の試合前練習中、神宮の外野スタンドでグラブを構え、通路を右へ、左へ、走る人物がいた。球団の三輪正義広報(38)だ。ちゃんと逆方向の左翼側で待ち受け、バックスクリーン左横への当たりを見事にダイレクトキャッチ。「捕れて良かったです。村上が一番、喜んでくれていたので」。打席の村上も手を振って喜んだ。同広報が現役時、内外野をこなした守備力を発揮。頭にはカメラを付けていた。トライアル初日に成功。映像は、球団公式YouTubeチャンネルにアップされるという。

果たして、どんな映像が見られるか。優勝マジック再々点灯はおあずけとなったが、王らに並ぶ55号、バレンティンの60号、さらにその上へ。見る者の楽しみは尽きない。もちろん、2連覇の瞬間も。ワクワクが止まらない。【古川真弥】

▽ヤクルト高津監督(村上の本塁打に)「甘い球だったんでしょうけど、それをホームランにできるのが今のムネだと思う。それをヒットにするのではなく、ああやって一振りで1点とれるのは心強いですね」

○…4年目の久保がプロ初勝利を挙げた。同点の6回に登板。1死一、三塁のピンチを背負ったが、広島小園の二ゴロを山田が併殺打とする好プレーで助けられて無失点。その裏にチームが勝ち越し、通算47試合目の登板で白星が舞い込んだ。「素直にうれしい」と笑顔。お立ち台では両親へ向けて「やっと初勝利をつかみました。これからもよろしくお願いします」とメッセージを送った。

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