ソフトバンクが西武との首位攻防戦に連勝し、カード勝ち越しを決めた。森唯斗投手(30)が8年ぶりの3イニング投球で今季2勝目を手にし、チームを3連勝に導いた。4回から登板し、3回1安打無失点。気迫の投球で味方の先制劇も呼び込んだ。オリックスが引き分けたため、2位に後半戦最大の1・5差をつけた。大混戦のパ・リーグで首位固め。2年ぶりの覇権奪還へ、このまま一気に走りぬく。

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かつての守護神が、ゲームメークに徹した。0-0の4回だ。先発奥村の後を受け、森がマウンドに向かった。いつもと違う時間帯、景色。「それでもやることは変わらない。ひとりひとり抑えるだけでした」。

先頭の源田に二塁打を浴びたが、後続を断った。3回1安打無失点の好リリーフ。3イニング以上を投げたのは、3回1/3を無失点だったプロ1年目の14年6月28日の西武戦以来8年ぶりだった。久々のロングリリーフにも「全然大丈夫です。次は4、5、6(イニング)いけるように頑張ります。あ、ないか…」。冗談を飛ばせるほど元気いっぱい。4回に中村晃が決勝打を放ち、今季2勝目を手にした。

試合前、藤本博史監督(58)はある構想を明かしていた。「森の先発転向」だ。今季は不振やコロナ感染などで、本来のクローザーの役をモイネロに譲っていた。それでも中継ぎで奮闘する右腕に、指揮官は「先発どうや?」と提案した。激しい首位争いの中で、この日のロングリリーフは来季以降の先発転向も見越しての起用だった。

指揮官の提案に、森は「与えられた仕事をするだけです」と、前向きにうなずいた。藤本監督は「奥村と森はセット。近々もう1回やります」と明言。ルーキーイヤーから救援一筋。14年から20年までは7年連続50試合以上に登板した鉄腕だ。通算では127セーブ、104ホールドを誇る。長らくソフトバンクの9回を締めてきた男が、今後新たな道を切り開くことになりそうだ。

西武との首位攻防3連戦で勝ち越しを決め、3連勝。大混戦のパ・リーグで、ソフトバンクが抜け出しつつある。森は自主トレの後輩、奥村とのリレーで好投したことを喜び「次もチャンスがあればしっかり」と口元を引き締めた。【只松憲】

▽ソフトバンク中村晃(4回、先制の中前タイムリーに)「とにかく強い気持ちを持って打席に入りました。うまくコンタクトすることができ、先制の1本になって良かった」

○…今季2度目の先発マウンドに上がった奥村が、3回1安打無失点の好投で必勝のバトンをつないだ。「正直な気持ちを言えば、もう少し長いイニングを投げたかったですが、任せられたイニングを0点で抑えることができて本当に良かったです」。2回、先頭山川に内野安打を許し暴投もあって無死二塁のピンチを招いたが、後続をきっちり仕留めて先制を許さなかった。「3イニングでしたが、チームの力になることができたと思います」。4回にチームは得点し2番手森が白星を手にしたものの、厳しい11連戦でしっかり役目を果たした。

○…大道典良3軍打撃コーチ(52)、大竹風雅投手(23)、スタッフ1名が陽性判定を受けた。13日の抗原検査で陽性疑いとなり、この日のPCR検査で判明した。

【ニッカン式スコア】13日のソフトバンク-西武戦詳細スコア