背番号55。日本の野球人にとって、大いなる頂を表す番号。王貞治がシーズン55本塁打を放った64年以降、王超えを目標に松井秀喜ら多くのスラッガーが、この畏敬の数字を背負ってきた。村上宗隆も、またその1人だった。村上が記録を更新すれば、また新たな数字が頂点の象徴となるかもしれない。背番号55を担った男たちの物語に、1つの節目が刻まれた。

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オリックスの55番は、履正社(大阪)時代に高校通算55本塁打を放ち、「なにわのゴジラ」の異名を取ったT-岡田外野手(34)だ。

左の長距離砲は05年高校生ドラフト1巡目で入団。当時ヤンキースで活躍していた松井秀喜のような活躍をとの期待を込め、55番をもらった。「良い背番号をつけさせてもらって、愛着もある。もっともっと活躍しないとな、という責任感もありますね」。入団以来17年間背負い続け「他のチームの55番(の活躍)も気になりますね」と、モチベーションにしている。

ヤクルト村上の活躍もチェックしている。「(打席で)クローズに構えて、あれだけ全方向に長打が打てる。胸郭周りの柔軟性がすごい。どこに投げて良いか投手はわからない。凡打するにしても打球の速さが違う」。同じ番号を背負う若武者から学ぶことも多い。もちろん、負けられない。【真柴健】

◆T-岡田(てぃーおかだ)本名・岡田貴弘(おかだ・たかひろ)。1988年(昭63)2月9日、大阪府生まれ。履正社から05年高校生ドラフト1巡目でオリックス入団。10年に登録名をT-岡田に変更すると、同年本塁打王、ベストナイン。14年ゴールデングラブ賞。187センチ、100キロ。左投げ左打ち。