オリックスがサヨナラ勝ちで首位ソフトバンクに2ゲーム差で食らいついた。中嶋聡監督(53)の代打策がズバズバ当たった。延長12回1死二塁から佐野皓の代打には若月。舞い上がった打球は、前進守備の右翼の頭上を越えた。
プロ初のサヨナラ打。ヘルメットを高々と放り投げて喜びに浸ったヒーローと同じくらい、指揮官も興奮していた。両こぶしを何度も握り締めた。「12回まで来て、勝てたことがすべてです。あとが少ないわけですから(引き分けとは)全然違うと思います」。粘り勝ちを喜んだ。
延長10回、中嶋監督は若月に「12回まで寝てていいぞ」と笑いかけた。試合展開や相手ブルペン、打順などを勘案しながら、先の先まで読んでいた。12回、左腕の堀が登板すると若月は「自分かな」と一気に気持ちを高めた。「いつもは代打を出される側なので新鮮だった」と照れ笑いした26歳だが、実は得点圏打率4割3分3厘。もちろん、打撃好調を把握した上での「切り札」指名だった。
これだけではない。1-1の8回2死満塁では代打西野が鮮やかな左前打で応え、一時勝ち越しに成功。決して不調ではない紅林への代打だった。右肋骨(ろっこつ)骨折で離脱した安達の代わりに、昇格した太田がサヨナラにつながる二塁打。用兵の妙は中嶋監督の面目躍如だ。
9回に抑えの平野佳が打たれ追いつかれる嫌な展開を吹き飛ばした。6連戦の初戦でも8投手をつぎ込み、勝利をもぎ取った。17日からはマジック点灯のソフトバンクと直接対決3連戦(京セラドーム大阪)が控える。最大のヤマ場を前にして大きな1勝だった。【柏原誠】
▽オリックス中嶋監督 12回まで来て、勝てたことがすべて。それ以外は何もないです。(代打陣は)場面、場面で出しているが、本当にいい仕事をしてくれている。
▽オリックス若月 いつも代打を出される方が多かったので、自分が行くのが新鮮な気持ちだった。プロでサヨナラを打つのが初めてなのでうれしかった。
▽オリックス太田(昇格即先発でサヨナラにつながる二塁打)「最高にうれしかった。安達さんの代わりは務まらないが、しっかり自分の長所を生かしたい」
○…先発山岡が6回1失点と久しぶりに本来の投球を見せた。得意のスライダーを正確に制球し、最少失点に抑えた。新型コロナ陽性で7月下旬から離脱。後半戦初勝利は果たせなかったが「なんとか最低限、ゲームを作れたのはよかったけど、先制点を取った直後に失点してしまった。反省しないと」。先発陣の踏ん張りが欠かせない中、明るい材料だ。



