東大が4-3の接戦で慶大を破り、今季初勝利を挙げた。リーグ戦勝利は、昨秋の9月26日の立大戦(7-4)以来。プロ志望届を提出した最速144キロ右腕、井沢駿介投手(4年=札幌南)が、6回を被安打6の2失点で通算2勝目を挙げた。法大は6-4で立大に勝利。3戦目で今季初白星を飾った。

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みんなの思いを乗せて、井沢は腕を振った。3-2で迎えた6回2死満塁。カットボールで捕邪飛に抑え、無失点で切り抜けた。「よっしゃー! という内容ではなかったけど、ひと安心でほっとしました。実力は相手が絶対に上だけど、どう強気に攻めていけるかを意識していた」。

初回は3四球と制球に苦しんだが、2回からは切り替えて、持ち味の打たせて取る投球。6回を109球で2失点にまとめて通算2勝目で、先発としては初勝利を挙げた。慶大戦の勝利は、宮台(現ヤクルト)が完投した17年秋9月16日1回戦以来(5-2)10シーズンぶりとなった。ドラフト制後、初の東大出身プロ野球選手となった元中日の井手峻監督(78)は「井沢が先発して勝利投手になることが、私の夢でした。理想的な試合運びだった」と振り返った。

井沢は2年秋からエースとして経験を積み、34試合に登板。多彩な変化球を操り、コースに投げ分ける。特に、直球と変化球の腕の振りがほとんど変わらないことを評価するNPBスカウトも。井沢は「四球から崩れることがなくなった。能力が上がって、投球の幅が増えた」と自己分析。夢のプロ入りへ、アピールを続ける。【保坂恭子】

▽東大・宮崎湧外野手(決勝適時打をマーク。井沢について)「井沢で勝つのは僕の夢でもあった。2年生からずっとエースで、なんとか勝ちをつけたいとチームみんなが思っていた。(2戦目も)勝ちます!」