弾、弾、弾~!巨人中田翔内野手(33)が3戦連発アーチでCS圏内まで0・5ゲーム差に肉薄させた。3位阪神との今季最後の「伝統の一戦」で22号決勝ソロ。同点の6回に阪神西勇の直球をバックスクリーン左へ放り込んだ。4位広島も勝利し、順位は5位のままだが、チームに大きな1勝をもたらした。ペナントレースは残り10試合。“直感の主砲”が、野性味あふれる豪快スイングで突き進む。

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荒々しく中田がほえた。打った瞬間にスタンドインを確信した。「シャー! オリャー!」。迫力の形相で巨人ベンチ方向へワイルドにバットを放り投げ、絶対に勝つんだというムードをナインと共有した。

試合がどちらに転ぶか分からない瀬戸際で、4番が流れを引き寄せた。2回に先制を許すも、5回に阪神西勇から吉川の同点適時二塁打で4試合目、29イニング目にして初得点を奪い追いつく。続く6回1死、先発右腕の140キロ直球を捉え、バックスクリーン左へ決勝22号ソロをたたき込んだ。自身も今季ここまで6打数無安打で「今まで考えて打てていなかったので、今日は『どこのどの球を打つ』とかは一切関係なく打席に入った」と開き直りが奏功した。

これで3戦連発。9月に入り11試合で6本塁打15打点と絶好調だが「本当に意識しているのは自分のスイングただそれだけ。悪いときを振り返ると、空振りもファウルも自分のスイングじゃなかった」と、完全に「らしさ」を取り戻した。

CS圏内まで0・5ゲーム差に3チームがひしめく。これまでも多くの修羅場を経験した主砲はこの瀬戸際を勝ち抜くために「荒々しさ」が必要だと訴えた。「ここまで来たらがむしゃらに。バッティングがああだこうだと言っている場合ではない。打席の中で良い意味で、荒々しくね。自分のスタイルを貫ければ」。

昨季がフラッシュバックする。昨年12月の契約更改で「少し萎縮している自分がいた。来年は荒々しく、全てを開放して一から頑張りたい」と言った。まさに有言実行。4番の雄たけびが、残り10試合を勝ち抜く号令となった。【三須一紀】

▽巨人原監督(中田について)「頼もしい限りですね。見事な逆転のホームランだったと思いますね」

○…戸郷が6回2/3を5安打2失点の粘投で、阪神青柳に並ぶハーラートップの12勝目をマークした。5奪三振を積み上げ、今季141奪三振もリーグトップ。残り10試合で2試合の先発が見込まれる。「(タイトルを)意識してないわけではないですけど、シーズン終盤で僕の1つの勝ちというのがチームに大きな影響を与えると思う。また次の試合に生かしていければ」と見据えた。

○…ポランコが“超速アーチ”を決めた。1点リードの6回2死、低めのチェンジアップをすくい上げた。打った瞬間確信し、ベンチにガッツポーズ。打球速度173キロの22号ソロでリードを広げ「しっかり狙い球を絞っていきました。完璧に捉えることができました。戸郷が頑張っていたので打つことができて良かったです」と自画自賛。定番になっている“パワーポーズ”を決めて喜んだ。

▽巨人吉川(1点を追う5回2死三塁、阪神西勇から今季29イニング目でチーム初得点となる同点適時打)「打ったのはスライダー。チャンスだったので積極的にいきました」

▽巨人山崎伊(18日DeNA戦の先発マウンドに向け)「しっかり準備をして、1イニング、1アウトでもいけるところまで全力でチームの勝利のために頑張ります」

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