ソフトバンクがロッテに快勝し、優勝へのマジックナンバーを「6」に減らした。2点リードの4回に中村晃外野手(32)が中押しの6号3ラン。自主トレにも師事したことがある明石健志内野手(36)の引退試合で惜別のアーチを描いた。投げても先発の板東湧梧投手(26)が被安打5でプロ初完封。投打がかみ合い、がっちり首位をキープした。

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「なめんな!」。中村晃は心の中で叫んだ。2-0の4回2死二塁。前打者の4番デスパイネが、申告敬遠で歩かされた。自身との勝負を選ばれ、燃えないはずがない。「その気持ちがなくなったら終わりだと思う。その気持ちは常にあります」。

ロッテ二木の初球、141キロ直球を右翼スタンド中段に運んだ。打った瞬間にそれと分かる確信アーチ。中村晃はバットを投げ、今度は「よっしゃぁ!」と思いきり叫んだ。「場面的にも絶対に打ちたかった」。5点差に広げ、勝利を決定づけた。

先輩の最後に花を添えた。この日はベテラン明石の引退試合。中村晃は約10年前に米アリゾナでの自主トレに師事するなど、尊敬の念を抱いてきた。「体が小さいのに、若い時は長いバットでもしっかり振れていた。それに加えてバットコントロールもあって。何よりも足が速いです」。

中村晃が入団した08年は、チーム寮が福岡市東区の西戸崎にあった。「僕が(寮に)入った時に健志さんは5年目だった。その時はけっこう怖かったですよ」と、苦笑い。今でこそ球界屈指の巧打者となった中村晃でも「健志さんはその時1軍と2軍をいったりきたりでしたが、2軍にいる時は無敵って感じ。天才なんだなって思っていました」と明かした。15年間ともに戦ってきた先輩のため、値千金の惜別弾を放った。

ロッテに快勝し、優勝へのマジックナンバーを「6」に減らした。2位オリックスが勝利し、ゲーム差は「0」のまま。1試合も落とせない日々が続く。中村晃は「全部勝たないと厳しいと思いますし、みんながそう思っている」と、チームの総意を代弁した。残り7試合。首位のままでゴールを目指す。【只松憲】

▽ソフトバンク三森(11日オリックス戦以来の8号が先頭打者弾) タイミングを合わせて自分のスイングで振り抜くことができました。しっかりと準備して打席に入れた結果だと思います。

▽ソフトバンク柳田(2回の適時二塁打に) 打ったのはフォーク。必死に食らいついて打つことができました。

▽ソフトバンク今宮(4回、ダメ押しの左前タイムリー) 打ったのはカーブです。チャンスで前の打席で凡退してしまったので、ここでは絶対にランナーをかえそうと打席に入りました。気持ちで打ったヒットです。

○…リードオフマンの1発で主導権を握った。三森大貴内野手が初回に先制の先頭打者アーチ。初球を右翼テラス席に運んだ。「打ったのは真っすぐです。タイミングを合わせて自分のスイングで振り抜くことができました」。8号ソロに笑顔でダイヤモンドを周回した。11日のオリックス戦(京セラドーム大阪)以来の1発でチームを乗せた。「しっかりと準備して打席に入れた結果だと思います」と笑顔で振り返った。

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