大逆転Vにヨシノブあり! オリックスが仰木監督やイチローらを擁した95、96年以来のリーグ連覇を達成した。

楽天に勝ち、ソフトバンクがロッテに敗れたため、シーズン最終戦で決着する劇的な展開。エース山本由伸投手(24)が球史に残る優勝を記念し、日刊スポーツに独占手記を寄せた。今季は15勝5敗、防御率1・68、205奪三振、勝率7割5分の圧倒的成績で、NPB史上初となる2年連続投手4冠を達成。仙台で歓喜に酔いしれた無双右腕が、胸中を激白した。【取材・構成=真柴健】

大逆転連覇!! 日刊スポーツ読者の皆さん、オリックスの山本由伸です。いつも温かい応援ありがとうございます! 悲願の連覇を達成できました! みなさんのおかげです! 今年は10・2の最終戦まで優勝争い。いやぁ、本当にドキドキしましたね。ここからはCS、日本シリーズ。日本一を目指して全力で頑張っていきます!

今年もケガなく、年間を通して投げることができました。先発投手は週に1度の登板。僕も毎週、緊張しています(笑い)。学生さんなら学校のテストや就職面接、サラリーマンなら大切な商談とか? 心臓がバクバクすることもありますが、でも、大丈夫です。

僕は緊張の種類を2種類に分けています。ドキドキするけど、実力以上のパフォーマンスを出せる「良い緊張感」と、本当にテンパってしまって、どうしようもなくなる「悪い緊張感」の2つ。試合で最高のパフォーマンスを発揮するには、たくさん練習して、自信を深めるしかありません。不安な気持ちになっても、そのゾクゾク感は力に変えられる。それが、絶対の自信につながると思います。

日頃、練習していないことは本番で発揮できません。例えば…僕が大勢の前で「一発ギャグしろよ!」と言われても、ね(爆笑)。普段、一発ギャグの練習はしてないから「悪い緊張感」が一気に走る。さすがに、いきなりは無理。知識もコツもないです(笑い)。

毎日、努力を積み重ねたお笑いの実力があれば「良い緊張感」が自然と出るので、堂々と披露できます。マウンドで緊張するたびに練習が大事だと心から思います。

そう感じさせてくれた「出会い」が夏場にありました。朝散歩していた公園で、お笑い芸人のコンビが「M-1優勝するぞ!」と意気込んで漫才をされていたんです。誰もいないスペースで壁に向かって2人が大騒ぎ。テレビで見るような声量で、ハイテンションで本番さながらに倒れ込んだり。同じネタを何回もコンビで確認して、精度を高めていて「すごいなぁ!」と立ち止まってしまいました。これが練習の原点だなと。

リーグ連覇という最高の形で、ペナントレースが終わりました。僕の中では「ご褒美」の概念はあまりないのですが、みんなで喜ぶビールかけは幸せを感じます。(19年の)プレミア12で経験したんですけど、ビールをかけられると、結構、痛いですよ(笑い)。

(9月30日に)サヨナラバントヒットを決めた周平さん(福田)ならわかってくれるかな? 僕は水じゃなくて、アクエリアスを持って歓喜のシャワーを浴びせました。だって、ペットボトルの水は0・5リットル。アクエリは2リットル。4倍の量があるから、いっぱいかけられて楽しい(笑い)。優勝のビールかけは、もっともっと量がある。優勝したときにしかできない、大切な思い出です。

歓喜、ビール…というと「休日」を思い浮かべます。“花金”って言うんでしょ? 僕は経験したことないですけど、知ってますよ(笑い)。オフシーズンは朝8時に練習場に向かうのですが、確かに金曜日に向かうにつれ、街を行く人たちも表情が明るい。心なしか月曜日はしんどそうに見えます(笑い)。

みなさんも、お仕事お疲れさまです。オリックス連覇を喜んでもらって、一瞬だけ気持ちを休めて、余韻に浸って…また頑張りましょう。みんなで日本一、なりましょうね!(オリックス・バファローズ投手)

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