阪神佐藤輝明内野手(23)が、CSファーストステージ突破の火付け役となった。2点ビハインドの4回2死走者なし。DeNA浜口の初球だ。内寄り144キロ直球を強振。打球は追い風にも乗ってグングン伸び、バックスクリーン右に吸い込まれた。「0点では勝てないので、一つのきっかけになったかなと思います」。17イニングぶりの得点をもたらせたCS初アーチが打線を活気づけ、6回逆転へののろしとなった。

得意のハマスタで意地をみせた。8日の初戦の第1打席で中前打を放って以来、7打席ヒットがなかった。「どんな相手も調子よくて、どんどん来ていたので、積極的にいきました」。勝負の短期決戦。闘争心を燃やし続け、初球打ちが功を奏した。1年目の昨季は場外弾、今季はレギュラーシーズンで打率3割1分1厘、4本塁打を記録していた横浜の地で、劣勢ムードを一振りではね返した。

6番での出場が続く大砲の待ちに待った1発。矢野監督は「まさか行くとは思いませんでしたけど。風もフォローだったんでね。あれでちょっと流れが変わることになりましたね」と目を細めた。佐藤輝は「本当に負けたら終わりなので、みんな気持ちが入っていたと思う。それが結果につながってよかった」と気合勝ちを強調した。

接戦をものにし、王者ヤクルトとの対戦に弾みをつけた。「ベンチの雰囲気もいつも以上に盛り上がっているし、すごいいいムードだなと思います」。虎が誇る若きスラッガーが、ファイナルステージでも大暴れの予感だ。【古財稜明】

○…佐藤輝の1発にユニーク指令あり!? 井上ヘッドコーチが試合前、ナインに「口角を上げろ!」と助言。表情を明るくとの指摘に、佐藤輝も真剣にうなずいていた。井上ヘッドは「実践したかどうかは知らないけど(笑い)。でも、今日はアイツがひとつ仕事ができたから、勝てたかなと思います。俺らは挑戦者だから、ミーティングでも(口角を上げろと)話した結果が、本当に少しだけ横浜さんより勝ったのかなと思います」と笑顔だった。

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