オリックスのエース山本由伸投手(24)が8回5安打無失点の好投で、ソフトバンクのポストシーズン連勝記録を18で止めた。球数116球で無四球。10三振を奪う快投で、チームを勢いに乗せた。

これでリーグ王者のオリックスは「1アドバンテージ1ヨシノブ」で2つの星を取り、4つの星が必要となるCSファイナルを好発進した。

大逆転連覇から10日後。エースは黙々と決戦のマウンドへ気持ちを向けた。

「とにかく集中して頑張りたいという気持ちです。(連覇したが)みんな切り替えている。ワイワイした雰囲気は全くない。集中している空気感です」

その言葉通り、ナインは躍動。今季レギュラーシーズンで15勝10敗と勝ち越したソフトバンクを初戦から圧倒した。

登板前、エースは必勝宣言していた。「初戦を取ると、かなりリードになると思う。絶対に勝ちたい」。悲願連覇は、最終決戦の「10・2」で成就した。目指すは日本一の頂き-。さらなる高みへ、一歩ずつ地面をかみしめる。【真柴健】

▼ヤクルトとオリックスが勝ち、アドバンテージの1勝を含め2勝。日本シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで2勝0敗は過去26度あり、25度が進出。突破率は96%と断然有利だ。連敗スタートから突破したのは17年DeNA(対広島)だけ。

○…先発出場した杉本が2安打で完全復活を告げた。ともに右方向におっつけた技あり打。4回には先制の押し出し四球も選び、5回の2本目は適時打。今季は不調に加え、夏場にコロナ感染と下半身故障が重なり終盤戦を欠場。最終戦で代打で復帰していた。「由伸が頑張っていたのでなんとか追加点を取るつもりでした。由伸、すごい頼もしかったです」。昨季本塁打王が、日本一への最後のピースになる。

○…先制点を含む押し出し四球を3度もらう、めずらしい攻撃になった。序盤は重い展開だったが4回に1死満塁から杉本が見極め、5回は2死満塁から頓宮、西野が連続でボールを選んだ。中嶋監督は試合前に、自軍投手陣に対して「無駄な四球」を厳禁としていた。自滅を誘っての快勝に中嶋監督は「どんな形であれ先制して、それをしっかり守り抜くのは勝つ条件」とうなずいた。