オリックスが2年連続の日本シリーズ進出を決めた。2-2で迎えた9回、2死一、三塁から中川がソフトバンク守護神モイネロから左前打を放ちサヨナラ勝ち。アドバンテージと合わせ4勝1敗とした。

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1、2戦目で勝利打点を挙げた杉本は「MVPは吉田正尚選手」と聞くと、お約束のようにずっこけた。吉田正尚外野手(29)は会心の笑みでガッツポーズ。青学大の先輩に向けて「どうだ」と右手を突きつけた。「ほっとしています。(MVPは)昨年、先輩が取っていて、今年も取られると思ったけど、まくれてよかったです」。杉本と並んだ祝勝会見で会心のドヤ顔を見せた。

まさに千両役者。衝撃の先制2ランが日本シリーズへの道を開いた。0-0の4回無死一塁。和田の浮いたチェンジアップを強振した。打球は中堅やや右寄り、5階席まで達した。ベンチは沸き、相手はぼうぜん。場内のどよめきは何分間も収まらなかった。

「山岡が頑張って投げていたし、なんとか野手陣で得点したいと思っていたのでよかった」。クールなバットマンが興奮していた。

ここ一番の集中力は高まるばかりだ。リーグ優勝を激しく争った9月は打率4割1分3厘、7本塁打、23打点、出塁率4割8分9厘と月別最高をマーク。CSファイナルでも初戦のダメ押しソロと計2本塁打で打率は4割6分2厘。9回のサヨナラ機でも中川圭と勝負せざるを得ない状況を作った。次打者席にいながら、相手の脅威になった。

昨年のレギュラーシーズン最後の1カ月は、右尺骨骨折でリハビリに専念。優勝争いの戦列に加われず、歯がゆい思いをした。そして今季、連覇を果たした仙台の夜。心地よい疲労感に浸りながら「一生、心に残る。今季はコロナも故障もあって、みんな苦しかった。みんなで喜びを分かち合えた」と心から喜べた。

「また、こういう舞台に立たせていただける。昨年、神戸で負けて悔しさを感じている。やり返すチャンスがきた」。ファイナル突破セレモニーの最後。「日本シリーズも、全員で勝つ!」。選手会長が叫んで、全員でシャンパン型のクラッカーを鳴らした。満員観衆の大きな拍手に包まれ、26年ぶり日本一への決意を新たにした。【柏原誠】

▼吉田正がファイナルステージで<1>戦に続き本塁打。同一シーズンのプレーオフ、CSで本塁打を2本以上放ったオリックスの選手は、阪急時代の73年住友平(3本=対南海)75年長池徳二(2本=対近鉄)マルカーノ(2本=同)に次いで球団47年ぶり4人目。

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