オリックス山崎福也投手(30)がセ・リーグV打線を緩急で翻弄(ほんろう)した。

初回先頭の塩見に許した1安打のみで5回を無失点。昨年から日本シリーズ12試合目で初めて先発投手に白星がついた。「いい感じで体が動いてくれた。(伏見)寅威さんがいい間といい雰囲気を作ってくれた。いい集中力でしっかり投げ切ることができて、結果的に勝ちもついてうれしいです」。30歳左腕は胸を張った。

初回無死一塁ではスライダーで青木のバットをへし折り併殺に。4回は2四球を与えたがオスナと中村を抑えた。明大時代から親しんだ神宮のマウンドを完全に自分のものにした。「2度も日本シリーズで投げられる」という喜びを結果に変えた。観戦した恩師の日大三・小倉全由監督(65)に最高の晴れ姿を見せた。

ドラフト1位でプロ入り後、活躍ができず自分を見失った。3年ほど前から、球速表示のこだわりを捨てた。力感のない投球フォームから投げ込む“快速球”を追い求めた。「上半身は脱力。下半身で地面から反発をもらって、一瞬で指先に伝える。直球をいかに速く見せるかがテーマ。(スピード)ガンよりは速く来ると思う」。目指す方向が定まり、成長曲線が上向いた。2回の先頭、村上をカウント2-1から内角直球で一飛。バットの上っ面をこすった。

山本の故障により、中5日で先発を託された。「いつも(山本)由伸に頼りっきりなので、まわりでカバーして日本一になりたいと思っている」。第2戦の4回無失点&先制打に続いて、投打で持ち味を発揮。山本でも宮城でもない。山崎福が日本シリーズで主役になった。【柏原誠】

○…必殺の継投策がこの日もぴたりとはまった。先発山崎福が5回無失点で役目を終えると、6回は159キロ男の宇田川が登板。2死から2四球でピンチを招くが、オスナを空振り三振斬り。7回はベテラン平野佳が3人で片付け、8回は“吹田の主婦”山崎颯が2三振を奪った。そして最終回はワゲスパックが村上を三振斬りするなど3人でピシャリ。ヤクルト打線を1回先頭塩見の1安打に封じる“スミ1安打完封”を完成させた。中嶋監督も「よく投げてくれています」と高く評価した。

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