栗山英樹監督(61)率いる侍ジャパンが、5日の日本ハム戦で開幕する「侍ジャパンシリーズ2022」に向け、東京ドームで前日練習を行った。

阪神からは佐藤輝明内野手(23)、近本光司外野手(27)、中野拓夢内野手(26)、湯浅京己投手(23)が代表に初選出。佐藤輝はフリー打撃でこの日“最長不倒”となる特大弾を放った。栗山ジャパン初の対外試合で、右翼でのスタメンが濃厚だ。

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タテジマの入った侍ユニホームに身を包み、佐藤輝が東京ドームに乗り込んだ。野手では唯一、ストッキングを見せてはく「クラシックスタイル」で登場。気持ちは自然と高ぶった。

「このユニホームを着てプレーするのは、すごく身が引き締まる思いです。たくさん良い選手がそろっているので、『これが侍ジャパンなんだ』と、そういう思いです。ワクワクしています」。午後1時過ぎ。興奮を抑え、静かに体を動かし始めた。

いきなり度肝を抜かれた。ヤクルト村上のフリー打撃を凝視。「村神様が逆方向にめちゃくちゃエグい打球を打っていたので、すごいなと」。自身も33スイングで7発と負けていない。10スイング目、右翼最上段バルコニーに飛び込む特大アーチは、野手15人のこの日最長飛距離だ。「しっかり振ってアピールしたい」。栗山監督の目の前で快音を連発させた。

背中には「7」が輝く。阪神での背番号8と違い、今季限りで現役引退した糸井嘉男氏(41)が背負った番号だ。「普段8なので、ヘルメットとか間違えないかな」と冗談を飛ばしつつ、「偉大な先輩がつけていたので、恥じないようなプレーをしたい」。その糸井氏は9日のオーストラリア戦(札幌ドーム)で始球式を務める。「やっぱりホームラン打ちたい」と先輩の目の前でのアーチを約束した。

シートノックではソフトバンク周東とともに右翼、ヤクルト村上、巨人岡本和と三塁に就いた。「内野も外野も両方あるぞ」と伝えた栗山監督は「今回選んだメンバーはこれから日本の野球を背負っていく人」とし、「佐藤輝選手なんかも非常にうれしそうに練習をしていたので良かった」と目を細めた。

代表ならではの他球団選手との野球談議は「そんな深い話はしていない。1週間あるんで、何かできれば」。残り期間への期待も膨らむ。まずは5日の日本ハム戦、右翼でのスタメンが濃厚。侍デビュー戦でもスタンドインしか眼中にない。【中野椋】

◆強化試合の主なルール 5、6日の日本ハム、巨人戦は9回終了。巨人戦は勝敗に関係なく、試合終了後に無死二塁からタイブレークを想定した練習を1イニング行う(打順は前の回から継続)。9、10日のオーストラリア戦は9回終了で同点の場合、最大2イニングのタイブレークを実施する。全試合DH制。守備時の使用球は、侍ジャパン、オーストラリアがWBC使用球、日本ハム、巨人はNPB統一球となる。

○…近本と中野が、5日の日本ハム戦へ向け調整した。近本は、阪神時代に指導を受けたこともある清水外野守備走塁コーチと守備の動きを確認。中野は本職の遊撃に加え、二塁でもノックを受けた。「足の使える選手が結構いたりする」と栗山監督も期待を寄せる虎の俊足コンビ。初の侍ジャパンでも持ち味発揮に期待だ。

○…湯浅は抑えでの登板も視野に入れる。栗山監督は守護神について「この時期は疲れている投手を連投させたくない」と固定起用を避ける方針。「逆に言えば、そういうチャンスがあったときに抑えでどういう姿になるのか見させてもらいたい」と複数投手に9回の登板機会を与えることを示唆した。湯浅はCSファーストステージで抑えを経験済み。初の侍ジャパンでも場面問わずフル回転してみせる。