ロッテの育成ドラフト1位、浦和麗明(埼玉)の吉川悠斗投手(17)が5日、さいたま市内の同校で榎スカウト部長らから指名あいさつを受けた。

3年夏の埼玉大会で1試合20奪三振をマークした最速143キロ左腕は「チームに必要とされる、言われたところでどこでもできる投手になりたいです」と謙虚に目標を口にし、入団の意思を示した。

プロ野球選手を意識したのは、県8強入りした2年秋だったという。もともとは「野球はそんなやるつもりはなかったというか。勉強していい大学に行って、と思っていたので」。浦和駅近くの住宅街にある、地の利のいい進学校。18年に女子校から男女共学になり、中学生人気も高い。

野球部の3期生になる。中3当時、通っていた進学塾に同校を勧められ、浦和麗明野球部の練習会に参加した。創部から携わる佐藤隼人監督(39)は「すごく良くなるなという予感はありました。フィールディングもいいし、一瞬のバネやパワーもあって」とひと目ぼれした当時を回想する。

故障防止のために「とにかく1年目は放牧しましたね。2年春に浦和学院に5回までノーヒットノーランだったんですが、そこまではしっかり育てて使わないようにと」。ロッテ吉井新監督とも通ずるような育成方針の下で、徹底的に肉体強化。勝ち抜くために2年秋にチェンジアップを解禁させたことで、一気に才能を開花させたという。

プロ野球選手誕生は、高校としても共学化5年目での大きな成果になった。ドラフト会議当日は、校内でパブリックビューイングを行った。「体育館に、多い時間帯では300人近く集まって。教職員もみんなで見守って。育成指名になったので、途中で参考書を読む生徒もたくさんいたりして」。英検2級の1次試験にも合格し、一般での難関校受験も視野に入れていた文武両道左腕。運命の瞬間、歓声がわき、3年前には思ってもいなかった進路に定まった。【金子真仁】