プロ野球の発展に大きく貢献した野球人に贈られる「正力松太郎賞」の選考委員会が8日、都内で開かれ、オリックスを96年以来26年ぶり日本一に導いた中嶋聡監督(53)が選出された。また、史上最年少で3冠王を獲得したヤクルト村上宗隆内野手(22)が、特別賞に選出された。

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<選考経緯>オリックス中嶋監督とヤクルト村上で意見が二分した。門田氏によると欠席となった王会長はNPBを通じ「56号、そして3冠王。これは圧倒的なインパクトがあった。今年は村上選手が正力賞にふさわしいのではないか」と村上を推薦。座長を務めた山本氏も「3冠王は狙って取れるものではなく、22歳の村上選手が成し遂げた偉業は正力賞に値する」と村上を推した。

一方で杉下氏は「フォークボールを駆使する中継ぎ陣を並べてヤクルト打線を沈黙させ日本一を勝ち取った」と中嶋采配を評価。門田氏も「7月に宇田川を育成から引き上げ、それ以降躍進させた。ペナントレースをギリギリでとるという離れ業。その手腕が日本シリーズでも発揮された」と中嶋監督を推した。

2人受賞の話題にもなったが、原辰徳監督と阿部慎之助が(ともに巨人)が同時受賞した12年以降は「やはり2人より、1人の方がいいという意見が強くあり」(山本氏)と本賞は1人になっているという。欠席した中西氏は委員会に一任する姿勢を示し、最後は座長の山本氏が「正力賞は(日本一となった)監督が、かなり取られているということもあり、中嶋監督を正力賞、特別賞に村上選手となりました」と説明した。

◆正力松太郎賞 日本のプロ野球の発展に功績を残した正力松太郎氏を記念し、1977年(昭52)に制定。プロ野球界に貢献した監督、コーチ、選手、審判員を対象に、選考委員が選出。受賞者の最多はソフトバンク工藤監督の5度。賞金500万円。

◆選考委員 王貞治(ソフトバンク球団会長)杉下茂(野球評論家、解説者)中西太(同上)山本浩二(同上)門田隆将(ジャーナリスト)※王氏と中西氏は欠席で委任状を提出