描いた夢への一歩を踏み出した。ポスティングシステム(入札制度)を利用してのメジャー移籍を熱望していたオリックス吉田正尚外野手(29)が17日、球団から大リーグ挑戦を容認された。ポスティングシステム利用が認められたのは、球団ではイチロー、中村紀洋に続き3人目。挑戦願望が明らかになってから、わずか18日のスピード決着となった。26年ぶりの日本一を置き土産に、日本屈指のヒットマンが海を渡る。

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夢への扉が開いた。吉田正は、26年ぶり日本一達成直後に熱い思いを語っていた。

「メジャーリーガーへの憧れは、正直あります。ずっと小さい頃から興味を持っていたので。日本のプロ野球もレベルが高いですけど、やっぱり野球と言ったらMLBが一番大きな舞台。アメリカ人だけでなく、全世界のスター選手が集まる。全ての地域のトップが集まってプレーする舞台。僕も、肌で感じてみたい」

新天地挑戦へ、29歳の決心だ。福井・麻生津(あそうづ)小学校の卒業文集に「大リーガー」と将来の夢を記した。あのころの思いを胸に、吉田正が大きな一歩を踏み出した。

オリックスはこの日、ポスティングシステムを利用したメジャー挑戦を容認。希望していた大リーグの舞台に近づき、吉田正は「高いレベルで野球をやりたいという気持ち、小さいときからの夢にチャレンジしたいという気持ち、そういった自分の想いを尊重していただいた球団には本当に感謝しています」と球団を通じてコメントを発表した。

日本球界屈指のヒットマンだ。プロ7年間で首位打者2度、最高出塁率2度。18年から5年連続で打率3割以上の数字を残し、リーグ連覇と26年ぶりの日本一に導いた。

球団でポスティングシステムの利用が認められたのは、イチロー、中村紀洋に続き3人目。吉田正は今後、大リーグ機構から全30球団に契約可能選手として通知される。すでにヤンキースやマリナーズが獲得調査中。マッチョマンが卓越したバットコントロールをメジャーの舞台で披露する。【真柴健】

◆吉田正尚(よしだ・まさたか)1993年(平5)7月15日生まれ、福井県出身。敦賀気比では1年夏と2年春に甲子園出場。青学大を経て15年ドラフト1位でオリックス入団。定位置を確保した18年から3年連続全試合出場。20、21年に首位打者、21、22年には最高出塁率も獲得。18~21年にベストナイン選出。21年から選手会長に就任し、2年連続のリーグ優勝と22年の日本一に大きく貢献。日本代表としては19年プレミア12優勝、21年東京五輪では金メダル獲得と、球界を代表する外野手となる。173センチ、85キロ。右投げ左打ち。

◆ポスティングシステム 海外FA権取得前に大リーグへ移籍できる制度。日本野球機構(NPB)を通じて大リーグ機構(MLB)に契約可能選手として通知される。今年の申請期間は12月15日まで。現在は入札による独占交渉ではなく、譲渡金支払い意思のある全球団と交渉できる。日本球団への譲渡金は、選手の契約内容に応じて決まる。日本選手では00年オフにイチロー外野手(オリックス)が初めて申請し、マリナーズ移籍。19年オフの菊池涼介内野手(広島)、20年オフの菅野智之投手(巨人)西川遥輝外野手(日本ハム)のように、交渉不成立で残留するケースもある。