“アレ3連発”でハートはわしづかみよ。阪神のファン感謝デーが26日、3年ぶりの有観客で甲子園球場で開催された。岡田彰布監督(65)が、2度目の指揮官就任後初めてファンにあいさつ。3万8000人を前に、「アレ」のフレーズを3度も使って18年ぶりVを力強く約束した。伝説のバックスクリーン3連発ならぬ“アレ3連発“に虎党は大歓声。来年のファン感を優勝報告会にする意気込みだ。

    ◇    ◇    ◇

3万8000人で埋まった甲子園のスタンドを見渡し、岡田監督は湧き出る感情を言葉にした。「超満員のお客さんで、少し興奮しています」。背番号80で甲子園に登場するのは、退任した08年の第1次監督時代以来14年ぶり。「伝統と重みとともに、やっぱりこのユニホームが好きで、似合うかなと、そう思っています」と笑顔で語りかけた。そして満を持して、あのフレーズが飛び出した。

「選手全員の力を結集して『アレ』に向かってまい進します!」。その言葉が出た瞬間、ファンがドッと沸いた。「シーズンで『アレ』を勝ち取って、1年後、またこの場所で『アレ』の喜びを分かち合いたいと思います」。怒濤(どとう)の“アレ3連発”で、18年ぶりの悲願を約束した。

ファン感終了後は、虎党に「アレ」が浸透していることに満足そうだった。「オレは来年のこと言うしかないからな。そりゃ『アレ』しか言われへんやん。そりゃ、マスコミのおかげじゃないの?」。そして笑顔で続けた。「この1年は(アレと言う)。1年たったらやめるかも分からへんけどな」。来シーズンは「優勝」の2文字は使わないが、達成すれば堂々と使うプランも考えているようだ。

高知・安芸での3週間の秋季キャンプは「若手中心だったけど、想像以上に力をつけ、レベルアップした」と手応え十分。次、選手とユニホーム姿で会うのは、2月1日のキャンプインになる。だが、「アレ」のためにはムチも振るう。「まあ、体ができてなかったら、そら、あれやん」。調整不足と判断すれば、第1クールで即2軍降格も行う。来年から1軍が宜野座村、2軍がうるま市と初めて沖縄で一緒にキャンプを張るメリットを最大限に生かす。序盤は2軍のうるまも視察し、入れ替え断行で厳しさも前面に打ち出す方針だ。

2月1日からの鍛錬は、秋季キャンプに参加しなかった主力も含めて「岡田の考え」をたたき込む大事な時間になる。戦闘ボディーをつくって来ない選手に、入る資格はない。ファンに誓った“アレ3連発”は、ナインへのメッセージでもあった。【石橋隆雄】

◆岡田監督の「アレ」 第1次阪神監督時代の08年から「優勝」のフレーズを禁句指定し、「アレ」という、指示代名詞に置き換えている。同年の交流戦でコーチや選手がこの2文字を口にして星勘定を始めたところ、最終戦で逃したため。オリックス監督初年度の10年交流戦でも封印し、優勝を飾った。阪神で2度目の監督復帰が決まった10月の就任会見でも「ずっと優勝のことは、『アレ』としか言ってなかったんで」とにんまり。「シーズンが終わるころに楽しみにしてもらったら。当然ね、狙えるんじゃないか」。と、18年ぶりの「アレ」奪回へ自信をみなぎらせている。

【写真特集】阪神ファン感 藤浪晋太郎ら選手がタッチでファン出迎え 岡田監督は「アレ」連発

阪神ニュース一覧はコチラ>>