巨人ドラフト1位の浅野翔吾外野手(18=高松商)が、“1号”を放り込んだ。1日、宮崎での2軍キャンプでスタートを切った。原辰徳監督(64)が見守る中で行ったフリー打撃では左手のマメをつぶし不完全燃焼も、ラストスイングで左翼柵越えを披露した。注目の大物ルーキーが背番号「51」の真新しいユニホーム姿で、プロ野球人生を歩み出した。

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浅野が気持ちで振り切った。左手中指の下のマメがつぶれた。痛みに耐えながら内角低めのボール球をすくい上げた。フリー打撃は33スイング。最後のスイングを左翼席への豪快な“初アーチ”で締めた。原監督が視察に訪れる中での快音に「あれはうまく捉えられました」と一定の手応えは示した。

だが、それ以上の後悔がこびりついた。

フリー打撃の途中で左手に違和感を覚えた。「いつもとちゃうな」と打撃用手袋を脱ぐとマメがつぶれていた。高校時代はなかったアクシデントにも「痛いから振らないというのは、プロ野球という仕事につかしていただいてるので、通用しないと思う。自分を追い込むつもりでしっかり振り込みました」と気持ちが勝った。全体練習後も居残りでロングティー打撃でバットを振り込んだ。

宿舎に戻ってからはさらなる激痛が待っている。「『マメ薬』があるらしくて、めちゃくちゃ痛いんですよ。それがいま頭にあるので、最悪です…。足の裏に水ぶくれできた時にやってもらったんですけど、ガチでヤバいです」とツーンとしみる処置にビビりまくり。

2日からは1000スイングのノルマが課せられている午前7時開始のアーリーワークが始まる。「最低1000は打たないといけないので、やる気でいます」と問答無用で早期回復が最優先となる。

指揮官の前でいきなり猛アピールとはならなかった。「これだけの練習でマメができるってことは今までやってない証拠」と戒めた。それでも、まだプロ野球選手として始まったばかり。「もっと振って、マメができないような頑丈な手を作りたい」と先を見据えた。痛みも悔しさも全てを糧にして、階段を1歩ずつ上がっていく。【小早川宗一郎】

〇…巨人原監督(浅野の打撃を初視察し)「気持ちよさそうに打っているしね。いろんなものを越えていかなきゃとは思いながらも、非常に安心しました。徐々に、いいと思います」

<巨人浅野のキャンプ初日>

◆午前6時50分 6時からこまめにアラームをセットして、50分経過してからようやく起床

◆同7時 朝食はしらす丼

◆同9時 青島神社を参拝して必勝祈願。絵馬には「全てにおいて勝つ」と記入

◆同10時10分 ひむかスタジアムで2軍全体練習がスタート

◆同10時45分 ランニングトレーニング。ペアは重信

◆同11時 宮崎入りの機内で隣の席だった北村とキャッチボール。ペッパーは20球のスピード競争に敗れてバービーを課せられる

◆同11時30分 内外野4カ所でノックを受ける。重信、若林と同組

◆午後0時15分 ランチ休憩

◆同1時15分 ピラティスで右脇腹が何度もつってチームメートの笑いを誘う

◆同1時55分 走塁練習

◆同2時30分 ティー打撃

◆同3時5分 フリー打撃で左手のマメがつぶれる。原監督が見守る中、33スイングで柵越え1本

◆同3時40分 個別練習。左右の打席でロングティーなど

◆同4時 取材対応

<巨人の高卒ドラフト1位野手のキャンプ初日>

◆93年松井秀喜 フリー打撃で48スイング中柵越え4本を含む安打性の当たりが18本。30スイング目にはバックスクリーン左のネット中段に当たる135メートル弾を放ち、打撃ケージの後ろで見守った長嶋監督へ強烈なアピール。

◆09年大田泰示 フリー打撃で21スイング目に外角高めを右翼席へ、25スイング目にはバックスクリーン左へ130メートル弾。28スイングのフリー打撃で2本、マシン打撃を含めて合計6本の本塁打を放ち、見守った原監督をうならせた。

◆15年岡本和真 フリー打撃で初球を空振り。カーブマシンに移ったファーストスイングでも空振りした。原監督が見守る中、柵越えはなかったものの、42スイング中23本が安打性で、終盤では左翼フェンス直撃の打球もあった。

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