日本ハム伊藤大海投手(25)が、“ダル観音投法”でWBCに挑む。2日に沖縄・名護キャンプでブルペン入りし、41球を投げ込んだ。腕の角度を3段階で使い分けるフォームを試験的に導入している。今オフに米国でともに自主トレを行ったパドレスのダルビッシュ有投手(36)からのお墨付きも得て、日本代表として出場するWBCで打者の意表をつく球筋を見せつけるつもりだ。

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伊藤がキャッチボールの最中に、遊び半分に投げていた中で編み出した投球法だった。従来の上手に加え、スリークオーター気味に下げるなど、3段階の角度を使い分けている。

伊藤 意外とここで真っすぐ投げた方が強いなという感覚があって、それは面白いなと。今まではアングルが全部一緒なのが正しいと思っていたが、何カ所でもできるならそれに越したことはないので、それを試している。

今オフ渡米し、自主トレをともにしたパドレスのダルビッシュの影響も受けた。腕の角度を変える投法は「ダルビッシュさんもそういうことをずっとやっていたと思うので」と話す。相談した大先輩のお墨付きも得たといい、「それはそれでありなんだなと確信になった」と語った。

ブルペンでは新加入した伏見とバッテリーを組み、カーブやスライダー、ツーシームなど7球種、41球を投げた。中でもスライダーの大きな曲がりに伏見も「よく曲がっている」と大きな反応を見せた。これも腕の角度を変えたことによる効果。伊藤は「腕を下がり気味に投げたので、それも曲がり方に影響している。スピードは落ちてしまうが、曲がり自体は大きいと思う」と語った。

投球中にWBC出場経験もある稲葉GMが打席に入る場面もあった。大先輩の構えから現役時代のオーラを感じ取り「少しでも甘く入ったらホームラン打たれそうだなという感覚もあった。タイミングも合っていたので、まだまだ怖いなと思った」。この日もWBC本番を想定し、昨季終了後から使ってきた公式球で投げ込み、着々と球の感触を養っている。「選ばれたからには試合に出たいので、自分のボールをしっかり突き詰めていきたい」と大舞台に向けた意気込みを語った。今オフに生み出した“ダル観音投法”で、世界トップレベルの打者を翻弄(ほんろう)する。【石井翔太】

◆伊藤の国際大会 21年東京五輪で代表初招集。当初のメンバーには入らなかったが、菅野(巨人)の辞退を受けて追加招集された。五輪では救援を任され、準決勝の韓国戦では同点の7回から3番手で登板し、2回無失点、3奪三振の好投で勝利投手に。計3試合を無失点に抑え、金メダル獲得に貢献した。昨年11月のオーストラリアとの強化試合でも1回無失点で、まだ代表では失点がない。