侍ジャパンに選出されている阪神中野拓夢内野手が、3月のWBCに向けて「盗塁改革」に取り組んだ。4日、沖縄・宜野座キャンプに球団OBの赤星氏が臨時コーチとして参加。盗塁の際、力が入ると上体が起きてしまう悪癖を指摘された。「切羽詰まった場面でいく可能性は十分考えられる立場」と赤星氏。国際舞台のここ一番で盗塁を決めるためにも課題克服は必須だ。

上体が上がってしまう分「ロス」も生まれ加速につながらない。中野は「少し(リード時の)スタンスを広げて、下に沈み込むくらいでスタートを切るっていう意識を持っています」と説明。この日は全体練習後の約50分、近本らとともに赤星氏から個別指導を受けた。一塁付近で何度もスタート練習を繰り返し、体に染みこませた。

WBC本番では、球団OBの鳥谷敬氏(日刊スポーツ評論家)が13年WBCの台湾戦で決めた「神盗塁」再現にも闘志をギラつかせる。赤星氏は「それ(課題)がうまくいけば大事な場面でも走れると思いますし、走ってくれることを信じています」。足で世界を驚かせる準備を進める。【中野椋】

◆阪神の走力 19年から4年連続でリーグ最多のチーム盗塁数を記録。盗塁王も4年連続で阪神の選手が獲得している。昨季は近本、中野、島田の3人が20盗塁以上。球団では62年ぶりに20盗塁トリオが誕生した。他に熊谷、植田ら代走要員の戦力も厚い。

○…島田が背番号53の先輩、赤星氏の走塁技術を吸収した。全体練習後、中野らとともに個別指導を受け「(盗塁時に)スムーズにスタートを切れていない現状を教えていただいた。なんでだろうと思っていたことを赤星さんが1発で教えてくれた」と感謝。「お金を払っても聞けない話だと思う。貴重な体験をさせていただいた」。自慢の足をさらに進化させ外野争いに割って入る。

▽阪神近本(足からの帰塁について)「手で帰った時には(相手も)『あ、走るんかな』って思う。赤星さんは『足で帰って余裕を見せていた』と言っていた。僕は足で帰れた方がしんどくない。実戦でやってみてどうなのか、もうちょっとやってみたい」

▽阪神熊谷(赤星氏から指導を受け)「新しい感覚を教わった。練習して自分のものにしていければ」

▽阪神植田(赤星氏から指導を受けた足からの帰塁は)「難しいです。速く戻れなかった。これからスチール練習でやってみたい」

◆赤星憲広(あかほし・のりひろ)1976年(昭51)4月10日生まれ、愛知県出身。大府-亜大-JR東日本を経て、00年ドラフト4位で阪神入団。1年目の01年に39盗塁でタイトルを獲得し、新人王を受賞。以後5年連続盗塁王となり、03、05年の優勝に貢献した。09年限りで引退。通算1127試合、1276安打、215打点、381盗塁(球団最多、プロ野球9位)、打率2割9分5厘。現役時は170センチ、66キロ。右投げ左打ち。

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