プロ1号で開幕3番に大前進だ。阪神のドラフト1位の森下翔太外野手(22=中大)が日本ハム戦の3回、左翼席へ先制決勝の2ランをかっ飛ばした。

実戦39打席目の1発で23年甲子園初勝利を導き、声出し応援解禁のスタンドに4年ぶりの「六甲おろし」大合唱を響かせた。適時二塁打も放ち2安打3打点。新外国人のシェルドン・ノイジー外野手(28=アスレチックス)が腰痛で出遅れる中、開幕3番が現実になる勢いだ。

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春の青空に白球が映えた。3回無死二塁。森下は日本ハム生田目の初球、142キロのストレートを捉えた。打った瞬間、スタンドインを確信する手応え十分の一撃。この回、新庄監督が敷いた「内野5人シフト」をあざ笑うかのように、打球は左翼席の中段手前まで飛ぶ124メートルの特大先制2ランとなった。力強く拳を握りしめた背番号1は「あまり外野を越える長打が出ていなかったので、1本出てよかったなと思います」と笑顔。23年の甲子園初勝利を呼び、1万3000人を超えるファンから“森下コール”でたたえられた。

実戦39打席目のプロ1号は待望の甲子園初アーチだった。東海大相模3年春、3番中堅で甲子園で4強入りに貢献したが本塁打は打てなかった。「この感触を忘れることなく、よりパワーアップして、甲子園で試合をしっかりやっていきたいと思います」と誓った。

前回指揮を執った08年9月29日広島戦以来、5275日ぶりの甲子園白星をプレゼントされた岡田監督も「おお! いい当たりやったなあ」と喜んだ。助言も効いた。前日、打撃コーチを通じて伝えていた。「これからはローテ投手がくるから、今までよりちょっと早めにタイミングを取れ」。早速実践し、1発回答した。指揮官は内野5人シフトに対して「外野フライを打て」とも指示していたが、森下はシフト自体に気づいてなかったという。なのに外野フライどころかスタンドに運んでしまった。

9日にWBCが開幕。中大の2学年先輩のDeNA牧が、中国戦で放ったアーチをテレビで見た。「自分ならどういう気持ちで(打席に)立っているだろう」と想像しながら。先輩の1発に強い刺激を受け、「(将来は)WBCで核となる選手になりたい」と決意新たに、試合に臨んでいた。

4回には右中間に適時二塁打を放つ広角打法で2安打3打点。中軸候補の新外国人ノイジーは腰の張りでまだオープン戦に出場しておらず、森下が「開幕3番」にさらに前進した形だ。

岡田監督は、12日の巨人戦からDeNA、ヤクルトと続く6試合でセ界の投手を“予習”させる。「シーズンで当たるピッチャーやからな、そら見させておくよ」。隠すのではなく、実体験で攻略をイメージさせる。それだけの期待感がこの男にはある。【高垣誠】

 

○…開幕遊撃を目指す木浪がマルチ安打で好調キープをアピールした。2番遊撃で出場し、二塁打を含む4打数2安打。小幡とのバトルで岡田監督は守備面を重視するが、キャンプからの実戦打率は3割5分5厘と快音が止まらない。「あまり競争って意識せずに。とにかく自分に勝つだけというのは考えてやっていきたい」と力を込めた。