日本ハムのドラフト1位矢沢宏太投手(22=日体大)が、こけら落としのエスコンフィールドを訪れた北海道のファンに“矢沢流”を披露した。

オープン戦で投手と野手で出場するのは初めて。5回に代打で途中出場すると、7回までは右翼の守備に就き、8回にマウンドに上がった。打者としては2三振に終わったが、投手としては1回13球を投げて1奪三振、1四球の無失点。二刀流ルーキーにとって、収穫のある本拠地デビューとなった。

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打席と外野グラウンド、マウンド-。真新しいグラウンドの至るところで矢沢が動き回った。5回裏に代打として打席に入り、続く回からは右翼の守備へ。8回にマウンドに上がると、大型ビジョンには投げるポーズの写真が映し出された。「ファンとの距離が近く、一緒になってやっている感じがあった」。“こけら落とし”に集まったファンの声援が、何よりの後押しになった。

期待のドラ1は「(二刀流の)流れを経験できたことが一番の収穫。公式戦でもできるようにアピールできたら」と言い切った。マウンドへ向かう調整法は“矢沢流”。ブルペンには入らず、7回裏の攻撃中に「バッティングケージがある場所のマウンドでピッチング練習をしてマウンドに向かった」。約20球を投げて、一気に肩をつくった。登板前の投球としては少なめだが、イニング間のキャッチボールで投球を意識して体を大きく使って投げていることも短めの調整につながっている。「(20球は)投げすぎたかなというくらい。外野で出ている時点で肩ができている。あとは座らせて確認するだけなので、20球も投げる必要ないかなという感じです」。

打者としての2打席はどちらも三振に倒れたが、投手では結果を残した。8回の3人目の打者は、22年のハーレムベースボールウィークで日本代表としてともにプレーした西武のドラフト1位蛭間。直球2球で追い込んだ後、高めのスライダーで空振り三振に仕留めた。「一緒にプレーしたこともあるので(特徴は)分かる。蛭間もこれからどんどん良くなっていくと思う。自分も負けないように頑張っていきたい」。投打の二刀流を目指すホープは、着々と準備を進める。【石井翔太】

▽日本ハム新庄監督(矢沢の理想の起用法について)「今日はお試し。理想は、例えば矢沢君が7回まで(ライトを)守って、伊藤君が7回まで投げていて。左打者の時に矢沢君を投手、伊藤君をライトで使う。で、1人抑えたら、戻す」

◆オープン戦の二刀流 大谷(日本ハム)が同一試合で野手と投手の両方を務めたのは、オープン戦では13年3月21日楽天戦しかない。8回からリリーフして1イニングを投げ、その後は打席に立ち、9回は右翼を守った。大谷は「投手→野手」で、「野手→投手」は99年3月21日ダイエー戦で新庄(阪神)が経験。7番中堅で先発した新庄は8回から登板。松中に本塁打を浴び1回1失点で、9回は再び中堅に戻った。

○…新球場で初の対外試合を終えた新庄監督は、開口一番「やっぱり芝というか、グラウンドが弾まなくて…。練習するしかない」と眉をひそめた。5回2死二塁で、左前打を処理しようとした松本剛が、転がらない打球に惑わされ後逸。新庄監督は「二塁に走者がいて外野にゴロが飛んだら1点入る。難しいね。ものすごく点数が入る球場になるかもしれない」と、心配そうだった。

○…上川畑が5試合連続安打と、アピールを続けている。8日のロッテ戦の8回に左翼線二塁打を放ってから、10、11日阪神戦、12日オリックス戦と、着実に結果を残してきた。新球場こけら落としでは3回1死から右前打を放ち「ちょっとずつ良くなっている感じがあるので、もうちょい上げたい。もっともっと動ける体をつくっていきたい」と先を見据えた。

○…ドラフト2位金村尚真投手(22=富士大)が4回から3番手としてマウンドに上がり、4回を投げて被安打3、3奪三振、1失点と好投した。4回は3連続三振で完璧な立ち上がりだったが、「立ち上がりがいいことは自分としても珍しい。次の回から少し調子を落としてしまった」と反省を口にした。「次の回への切り替えが大事だと分かったので、上げていけるように、やっていきたい」と語った。

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