日本ハムの新球場エスコンフィールドで痛い連敗を喫し、ソフトバンク藤本監督は渋い表情でビジターロッカー室から引き揚げてきた。「まあ、打てんね。打てないから明日は(野手の)全体練習にします!」。怒りか焦りか。北の大地2戦で計2得点。打線のつながりにはほど遠く、湿りきった打線の奮起を求めて、指揮官は福岡に戻る移動日に打撃陣の全体練習敢行を決断した。

新外国人アストゥディーヨに初アーチが飛び出したとはいえ、打線の核となる主砲柳田のバットが上昇カーブを描かない。3番DHで出場し、1打席目に四球を選んだものの、2打席目は加藤貴のカーブに二ゴロ。3打席目は直球で追い込まれると、118キロのチェンジアップにバットは空を切った。

試合前。藤本監督が大きく首をかしげたのは最も信頼を置くキャプテン柳田の不調だ。「心配ですねえ。実績があるだけに。本人はある程度の段階と言っているけど、ちょっといいかげん(調子を)上げてもらわんと試合の中で空振りしている姿がボールに差し込まれている」。WBC決勝で特大の同点弾を放った侍ジャパンの村上の打撃を引き合いに出し、「今日の試合を見ていても村上は前で打っている」と話したほどだった。

世界戦で打撃好調だった近藤ら侍組も帰国する。「近藤、牧原大、周東らが帰ってきて変わってくれたらいい」とWBC組の再合流で打線を上向きにしたい考えだが、開幕まで10日を切っただけに「期待感」だけでは光明は見いだせない。「主力が調子を上げてもらわないと」。オープン戦も残り3試合。3年ぶりV奪回を厳命されている藤本監督にとって1日でも早く「快音」を取り戻したいところだ。【佐竹英治】