西武今井達也投手(24)が9イニングでは今季12球団一番乗りで完封勝利を挙げた。ロッテ戦で8回1死までノーヒットノーランペース。安田に安打され大記録は破れたが、2安打完封でほえた。作新学院(栃木)で甲子園優勝投手になった右腕は、入団後からつけた背番号11を今季から志願して「48」に変更。我流を貫きながら高橋、平良らと強力先発陣を形成する。

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獅子のような後ろ髪を、今井は軽やかになびかせた。三振を取れば、感情を分かりやすく表現する。大宮の夜はその数、11度。「あまり外野に飛ばされたくないと。できればイニング以上は三振取りたいので」。ノーヒットノーランは8回1死で途切れたが「ボールが手から離れたら、僕には結果はどうにもできないので」と動じず、2年ぶり3度目の完封勝利に至った。

ナイターに白獅子のユニホームが映える。「ベンチの上の子供たちが元気なのでそこに勇気づけられたところもありました」。憧れのまなざしで見つめられる今井にも、憧れがいる。昨季で現役引退した武隈祥太氏(33=現副寮長など)。その背番号「48」を継承した。「他の人にないような性格というか、適当なように見えて多分、一番いろんな人をこと細かく見てる人です」。個性、我流。今井自身も共鳴する。

ブルペンの球数は少なめで、管理も徹底する。「ラストもう1球お願いしますが続いちゃって、ブルペンの球数が増える投手が見てても多いので。それは良くないと思う」。回転数などを計測する機器「ラプソード」の数値を見る投手も増えた。今井はあまり見ない。自分らしく。

「人には合う合わないがあるってことじゃないですか。自分の正解って、人に教えてもらうわけじゃないと思うので」

今井は背番号変更を訴えた。高橋はメジャー挑戦への思いを、平良は先発転向志願を、昨秋それぞれ球団に発信した。その3人が13日終了時点でリーグ奪三振数のトップ3。「チーム内でそういう競争がないと、チームは良くなっていかない」と今井が願うハイレベルな争いが、開幕直後にして繰り広げられる。でっかいことを言ったからには、やる。「明日チームは(北海道への)移動ゲーム。そこも含めて最後まで投げられれば」と燃えた獅子奮迅がまた、誰かのハートを熱くする。【金子真仁】

○…16年の甲子園春夏のV腕が2日連続で快挙に迫る投球を演じた。春のセンバツで智弁学園(奈良)を優勝に導いた阪神村上が12日の巨人戦で7回完全投球。すると一夜明けて夏に作新学院で全国制覇した西武今井が8回途中までノーノー行進で“呼応”した。甲子園を沸かせた98年生まれの投手が2日連続で輝いた。

▽西武松井監督(今井完封で再び貯金1に)「今日は今井が全てだと思うので。最後の最後まで粘り強く、本当に素晴らしい投球だったと思います」

 

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