乗っテル打! 阪神佐藤輝明内野手(24)が今季2度目となるV打で勝利に導いた。大山が同点打を放った直後の8回、中日柳から値千金の右前適時打。今季最多の4万2596人の観客はお祭り騒ぎとなった。「ゴールデンウイーク こどもまつり」開催期間中の成績は3試合連続打点で打率3割超え。連日にわたって子どもたちのヒーローとなり、今季最多タイの貯金4をもたらした。

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聖地のボルテージは最高潮に到達していた。4番大山が同点打を決めた直後の8回裏2死一、二塁。甲子園全体のザワつきが簡単に収まらない中、5番佐藤輝の脳内は冷静だった。

「柳投手が素晴らしい投球をしていて、やられていた。最後は絶対打つぞっていう気持ちで入りました」

7回無死二塁の第3打席はチェンジアップで二ゴロに仕留められていた。同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかなかった。第4打席、2ボール1ストライク。再び中日柳から投じられたチェンジアップを今度は狙い打った。強烈な打球で一、二塁間を破り、値千金の決勝点をたたき出した。

「チェンジアップでやられていたので、それを最後に打てたのは大きかった。抜けてくれてよかった」

送球間の間に二塁へ進むと、塁上で何度も手をたたいて喜びを爆発させた。

ゴールデンウイークにはめっぽう強い。2日から始まり、ひらがなでスコアボードに名前が表記される「ゴールデンウイーク こどもまつり」。「さとうて」こと佐藤輝の3日間の打撃成績は3戦連続打点で打率3割6分4厘。昨年も含めれば4戦連続打点だ。

子どもたちの前で連日ヒーローであり続けた背番号8に、岡田監督も納得顔。「ポイントが良くなってきたということよ。4、5(番)はほんと柱なんでね。しのいで勝ってるのは大きい」。チームの勝ち方、主砲たちの働きに自然と笑みがこぼれた。

ヒーローインタビューでは、ファンクラブKIDSから「ホームランを打つコツを教えてください」と問われ、笑顔で即答した。「いっぱい食べて大きなれよ!」。お立ち台の後に「緊張していたと思うんですけど、しっかり質問もしてくれて立派だなと思います」とたたえる姿もまたヒーローらしかった。

チームは2日連続でビハインドの展開から白星をもぎ取った。前日3日の中日戦は6点差をはね返して逆転サヨナラ勝ち。この日は2連勝を飾り、貯金を今季最多タイの4に増やした。1点差ゲームの勝利数は両リーグ最多タイの7回。「接戦の虎」が勢いのまま、昨季4勝7敗1分けと大きく負け越したマツダスタジアムに乗り込む。【三宅ひとみ】