中日福敬登投手(30)が難病からの1軍復帰登板で、昨年7月以来の白星を手にした。1点を追う8回に4番手で登板。230日ぶりの1軍登板を1回1安打無失点に抑えた。直後に打線が爆発し、一挙6点の逆転劇。連敗を止める“福の神”になった。

マウンドに上がる前に左腕は手話で復活を告げた。「帰ってきたよ」。愛知県立名古屋聾(ろう)学校への慰問などで交流を続けてきた友人たちへ、あいさつを込めたジェスチャーで仕事場に戻った。前日サヨナラアーチを放った巨人5番丸をスライダーで右飛。2死から中山に右前打を許しても、山瀬を一邪飛に打ち取り、16球の復活マウンドを終えた。「こんなにいいお返しができると思ってなかった」。昨季終盤に国が難病指定する黄色靱帯(じんたい)骨化症と診断され、昨年10月末に胸椎黄色靱帯骨化切除術を受けリハビリ。執刀医にプレゼントするウイニングボールでズボンのポケットは膨らんでいた。

努力が報われた復帰戦白星に、お立ち台で「野球の神様は見ているんだなと感じました」と話し、拍手や声援で後押ししてくれた観客に感謝した。

お立ち台を終えると、ファンに直筆サイン入りのボールを投げ込む儀式。「もう大丈夫」。復活を自らマジックでしたためた球を高々と投げ入れた。

5回途中3失点降板した小笠原のピンチを、右太もも故障から復帰した藤嶋が救った。救援陣の奮闘もあり2試合連続逆転負けの悪夢を払拭。立浪監督は「2人が帰ってきてくれた。清水らが戻るまで何とかしのぎながらやりたい」と、こどもの日で大入り満員となったファンに反攻を誓った。【伊東大介】

▽中日石川昂(8回に12試合ぶりのダメ押し2号2ラン)「細川さんのヒットで逆転して、勢いに乗らせてもらい打たせてもらった」

▽中日細川(8回逆転の2点適時打で移籍後初の猛打賞)「ランナーを絶対かえしてやろうと打ちました」

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