日本ハム先発の加藤貴之投手(30)が9回4安打無四球で、チーム今季初の完封勝利を挙げた。

102球で、昨年4月19日楽天戦(90球完封)以来となる「マダックス」達成とはならなかったが、テンポいい投球で約1カ月ぶりの白星をつかんだ。襟付きの特別ユニホームに慣れるため、2日前に“予行演習”。投球前の細かい下準備も功を奏し、今季2勝目をつかんだ。

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加藤貴がひょうひょうと9回を投げきった。3回40球、5回67球、7回81球と効率よくロッテ打線を打ち取り、8回まで95球。100球未満での「マダックス」も狙えたが「そこは意識せずに。いつも通り(伏見)寅威さんのサイン通りに投げることだけ、考えた」と、9回は7球で3者凡退。102球での完封勝利につなげた。

もどかしさを抱えていた。開幕投手を務めるも勝利に導けず、今季は前回登板まで6試合登板し1勝2敗と負け越し。5日楽天戦(エスコンフィールド)も7回で2失点降板していた。この日は7回を終え建山コーチから状況を聞かれ、続投を志願した。「体は元気だったし前回、前々回と自分の中でふがいないピッチングも続いていた。ブルペンに迷惑かけているというのもあったので。本当に9回投げ切れて良かったです」と安堵(あんど)した。

入念な下準備も生きた。この日から新庄監督がプロデュースした赤い大きな襟付きユニホームを着用。2日前の11日には上沢とともに新ユニホームを着用して、ブルペン投球を行った。「襟は、あんまりない感覚。違うユニホームになるときに、それを事前に着て練習するのは初めて。徐々に気にならなくなりました。練習をやっておいて、良かったなとあらためて思いました」。わずかな違和感も、しっかり取り除いたからこそ生まれた快投だった。

女房役の伏見は加藤貴の復調バロメーターとして「サインに首を振る回数が少し増えた」と言う。テンポ重視のため基本はサイン通り投げているが「ここぞというときに主張する。ここまで1、2回だったが今回は2、3回。それで抑えた場面もあった」。開幕から1カ月半経過し、投じるボールに自信が出てきた証し。2時間42分の完封劇を機に、調子を上向かせていく。【永野高輔】

▼日本ハム加藤が今季初、通算4度目の完封勝利を挙げた。初完封は21年10月18日楽天戦(楽天生命パーク)で、104球を投じ3安打に抑えマークした。昨季の4月19日楽天戦(同)では90球で4安打完封し、100球未満で9回以上を投げきり完封する「マダックス」を達成。新庄監督が試合後「カドックス」と命名した。対ロッテの完封は札幌ドームの昨年9月9日以来、2度目。

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