現役ドラフトで新加入した阪神大竹耕太郎投手(27)が、無傷の開幕5戦5勝で、チームの3連勝と3週間ぶりの首位タイ浮上を導いた。1差で追っていたDeNAとの直接対決で6回を4安打1失点。ハーラー単独トップに立ち、早大の先輩岡田監督に通算600勝と今季最多の貯金6をプレゼントした。登板予定日に雨が多く、SNSで「大雨降太郎」の異名も持つ新戦力左腕は、対セ・リーグも8戦8勝の無双状態だ。

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大竹が雄たけびを上げた。4点リードの6回1死一塁。1発もあるDeNAの4番牧を投ゴロ併殺に仕留め、感情をむき出しにした。6回4安打1失点で単独トップ、5戦5勝を手中にした瞬間だった。「良い打者だったので、予想以上の結果でよかった」。感謝したのは満員札止めのファン。強い雨が降りしきる中、大声援を送り続けてくれた。

「この雨なのに、帰らずに見てくれているファンがいる。雨でどうだこうだって言うのは違う」

「砂漠の中の草」になりきった。登板予定日に何度も雨が降ることからSNSでは「大竹耕太郎」をもじって「大雨降太郎」などと呼ばれている。そしてこの日も雨。だが、マウンドの状態が悪くても、プラス思考を貫いた。「砂漠の中の草みたいなイメージです(笑い)。『水欲してた! 雨降った。よっしゃ!』って。逆にわくわくするイメージで」。3回にソトの右前ポテン適時打で先制点を献上。それでも、「本塁打にならなくてよかった」。常にポジティブな大竹流で相手打線を分断した。

岡田監督の存在もパワー源だった。普段は監督とほとんど話すことはない。でも、見てもらっている感覚があるという。沖縄・宜野座の春季キャンプのブルペンや、日々の練習から感じる視線。現役ドラフトでソフトバンクから新加入した外様にはうれしいことだった。「常に見てくれているという感じです。『この監督のために』と思うんです」。早大出身の虎投は意外にも球団初で、大先輩の監督通算600勝に花を添える巡り合わせ。指揮官も「この雨もあるし、6回まで何とか投げ切ってくれたのが大きかった」とたたえた。

チームは3連勝で今季最大の貯金6。DeNAと並び3週間ぶりに首位に浮上した。大竹は「もっともっと監督を胴上げするために頑張りたい。次回以降も全身全霊で頑張ります」ときっぱり。規定投球回数に2回1/3足りないが、防御率は驚異の0・59。同僚の村上に次いで“隠れ2位”の好成績だ。次も勝って全勝で首位戦線を引っ張り、岡田監督への恩返しの旅を続ける。【三宅ひとみ】