交流戦でも猛虎が止まらない! 「日本生命セ・パ交流戦」が開幕。阪神村上頌樹投手(24)が8回4安打1失点で5勝目を挙げた。チームを16年ぶりの9連勝&今季最多貯金18に導く好投。1軍デビュー戦でKOを食らったマウンドで屈辱を晴らす快投を演じた。規定投球回に到達し、防御率は両リーグトップの1・41。5月の進撃が続く岡田虎は、これで球団月間最多タイとなる19勝目。球団史に残る新記録は目前だ。

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まるで甲子園かのような大歓声が、ベルーナドームに広がった。球団記録となる月間19勝。お祭り騒ぎのスタジアムで、村上はヒーローインタビューに2年分の思いを込めた。

「2年前と全く同じ日に投げさせてもらえるということで、少し緊張はした。本当に嫌な球場だったんですけど、いい球場になってよかったです」

21年5月30日。プロ初登板初先発が、敵地西武戦だった。3回途中5失点。先頭に四球を出し失点を重ねる悪循環だった。あれから2年。「本当に自分はコントロールでやっていっている」と胸を張る。今季51イニングで4四球。この日も8回1失点、無四球で西武打線にリベンジした。

1点差の4回2死三塁では元同僚の陽川を空振り三振に仕留め「怖かったけど、しっかり抑えられた」。規定投球回に再び乗り、防御率、奪三振数、勝率でリーグトップ。リーグ2位タイの5勝と合わせれば「投手4冠」も夢ではない。

昨オフから取り組む、あるルーティンが村上を変えた1つの要因だ。トレーニング中、バスケットボールよりもひと回り小さいボールで壁当てを行う。リリース時にはひとさし指と薬指を強く意識。右前腕の筋肉に細かい刺激を与え、瞬発力ではなく、持久系の筋肉「遅筋」を鍛えている。

「これで、ストレートの感覚をつかんだんです」

東洋大4年時、右腕の張りで投げられない時期があった。復活しても、直球には100%の手応えは戻って来なかった。当然故障は癒えているが、地道な壁当てで右腕をさらに強化。同時に直球の威力も増した。だからこそ、真ん中付近にズバズバ投げ込み、四球も少なくなる。

「火曜日の男」が3週連続で勝ち星を挙げ、チームは16年ぶりの9連勝で交流戦開幕ゲームをものにした。岡田監督は連勝について「そら、なかなかないやろ」。球団新記録となる月間20勝がかかる31日に向け「おお、まあ普通にやるよ、普通に」とさらりだ。背番号41のリベンジ星から、虎はどこまでも走り続ける。【中野椋】