ベテランの無念はチーム一丸で晴らす。ソフトバンクにそんな気概が見えた。

2回、先発の和田毅投手(42)が緊急降板した。先頭の4番マクブルームの打球が左手に直撃。交流戦通算26勝は歴代2位タイで、同1位ヤクルト石川とは1勝差。トップに並ぶ可能性もあった登板は、不運な形で終わった。

急きょマウンドに上がったのは、昨オフから和田の自主トレに参加している板東だった。無死一塁から緊急登板。2死満塁のピンチを背負ったが無失点で切り抜けた。「和田さんは本当に尊敬しています」。そう話していた右腕が師匠の後を受け継いだ。

3回の攻撃。1死から25歳の川瀬が右翼二塁打を放った。2死二塁で1番中村晃が左前の先制適時打。先発の緊急降板という険悪ムードを振り払った。ベンチでは藤本監督も、斉藤和巳投手コーチも、うなずいて手をたたいた。

3回の守備。2死二塁で広島マクブルームが左中間への飛球を放った。打球を追うのは今季初めて中堅守備に就いた近藤。届くか、届かないか…。ランニングキャッチで同点の危機を救った。ベンチも鷹党も沸いた。

42歳の和田はチーム最年長。偉業をかけたマウンドだったが、苦悶(くもん)の表情のままグラウンドを去った。それでも後輩たちの躍動を知れば、悔しさも和らぐかもしれない。【只松憲】

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