「今バウアー」が驚異の奪三振ショーを演じた。DeNA今永昇太投手(29)が自己最多タイの7者連続を含む、球団タイ記録の15奪三振をマーク。7回を113球、6安打1失点の力投で6勝目を挙げた。今季初の巨人戦先発。前日6日ヤクルト戦で完投勝利を挙げた同僚トレバー・バウアー投手(32)の助言も胸に刻み、冷静な左腕が本家ばりに何度も雄たけびを上げる熱投で、チームを2連勝に導いた。雨天中止で試合がなかった首位阪神に1ゲーム差に迫った。

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「投げる哲学者」今永が、前夜の「投げる科学者」バウアーに重なった。1点を勝ち越した7回、1死二、三塁のピンチ。代打長野を空振り三振に仕留めると、代打岸田にはカウント1-2から外角高めに渾身(こんしん)の151キロ直球を投げ込み空振り三振。グラブをたたき、何度も雄たけびを上げ、気合のこもった表情でベンチへ引き揚げた。「最後の2つだけ、狙いにいって取れたので。自分に『よくやった』と言ってあげてもいいと思います」と振り返った。

2回先頭の岡本和に先制20号ソロを浴びた左腕だったが、切り替えて奪三振ショーを演じた。4回1死の岡本和の第2打席では、フルカウントからの8球目、内角低めいっぱいに152キロ直球を投げ込んで見逃し三振。冷静なエースが珍しく、グラブをたたき、センターを向いて雄たけびを上げ、感情をあらわにした。

研究熱心な左腕は、ピンチになると最速159キロまで球速を上げるバウアーに助言を求めていた。「メカニズムを変えているのか、ただ純粋に出力だけ出しているのか? 僕もピンチの時に150キロじゃなくて、152、3、を投げたいと思っているので」。答えは難解だったが、それを理解し実践してみせた。

「バウアーは『股関節の屈折角度と重力を利用する』と。聞かれたらすぐ答えられるので、それが本当に素晴らしい。僕もちょっとだけ股関節の角度を深くして投げました」。投球時により深く沈み込むイメージで、7回の岸田には4球すべて高め151キロ直球で押し込み、「あれはメカニズムを無視して球速を出しにいった。いい球だったか分からないけど、物理的には速い球を投げられた」。4回の岡本和の打席では152キロを投じるなど要所で力を込めた。

サイ・ヤング賞右腕に続いての白星に「彼が勝ったら、僕も勝たなきゃいけないなと。そういう気持ちで投げています」。左右の両エースで、25年ぶりの頂点へ導く。【鈴木正章】

DeNA三浦監督(今永の気迫の投球に)「昨日のバウアーが乗り移ったような感じで、本人も意識していたかもしれない。今年は特に気持ちも出ている」

▼今永が7回15奪三振。1試合の奪三振記録は95年野田(オリックス)と22年佐々木朗(ロッテ)の19個だが、球団では大洋時代の79年5月27日巨人戦の遠藤、横浜時代の09年9月5日中日戦のランドルフの15個に並んで最多となった。また、7回までに15三振以上奪ったのは、22年佐々木朗(7回まで15個→最終19個)以来6人目で、左投手では初。セ・リーグでは11年前田健(広島)に次いで2人目。前田健も7回15奪三振で降板した。

▼2回の北村拓から4回の大城卓まで7者連続奪三振。今永は20年8月1日阪神戦でも7者連続奪三振を記録しており、自身2度目。7者以上の連続奪三振を2度マークしたのは、96、97年西口(西武)11年にソフトバンク、12年に巨人で記録した杉内以来3人目。

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