因縁の左腕打ちで3連勝! 阪神が宿敵巨人との激戦を制し、首位陥落を阻止した。1点を追う7回1死一、二塁、5番佐藤輝明内野手(24)が8打席無安打と苦戦していた左腕高梨から値千金の同点打。さらに1死満塁から7番坂本誠志郎捕手(29)の中犠飛で勝ち越し、小幡竜平内野手(22)の左中間2点三塁打でトドメを刺した。近本光司外野手(28)の右肋骨(ろっこつ)骨折の原因となった死球を与えた左腕を打ち崩し、0ゲーム差の首位を死守した。

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4万人を超える虎党の大歓声を、佐藤輝は一塁ベース上で一身に浴びた。1点を追う7回1死一、二塁、巨人が菊地から高梨にスイッチする。左腕は近本に死球を当てて右肋骨を骨折させていたことから、甲子園は大ブーイングに包まれた。ボルテージが最高潮に達する中、2球目だ。内角直球を逆方向へ。三遊間を突破し、二塁走者が生還。試合を振り出しに戻し、聖地はお祭り騒ぎとなった。

「めっちゃうれしいっすねー、うれしいっすね。(高梨から)1本も打ってなかったのでよかったです」

天敵高梨との9度目の対戦で初安打。試合後は思わず笑みがはじけた。直後、1死満塁から坂本が勝ち越しの中犠飛を打ち上げ、小幡がダメ押しの2点適時三塁打を決めた。何より勝利がうれしかった。

「バット変えていい感じです」。好調の要因の1つが「森下バット」だ。23日の敵地ヤクルト戦。3打席凡退で8回の打席に向かう直前、ベンチで隣に座っていた森下の相棒を見つけ「これでええわ」と拝借した。「いい感触だったので、ちょっと試してみようかなと」。1死一、二塁から左中間を破る適時二塁打を放ち、勝利に貢献。この一戦から3試合連続打点と新相棒がハマっている。

森下のバットの長さは佐藤輝とほぼ一緒の85・1センチ。重さは10~20グラムほど軽い870グラム前後だという。佐藤輝はスイングした時の「バランスが違う」と説明。森下は「グリップは細めで先っぽの方に重みがあって、トップの方にバランスがあります。テルさんはそれがちょっと合っているのかな」と分析する。大山も同じ型で使用するなど、森下バットの人気は上昇中。新人の相棒が、主砲の快打に一役買っている。

2回無死一塁では5試合連続安打となる右前打を放ち、ノイジーの先制打につなげた。2試合連続マルチ安打。岡田監督は同点打の場面を振り返り、「あそこは絶対、左(投手)が来るんだけど。だいぶタイミングもいいし、空振りも今までの空振りと全然違う。左が来ても打つかなと」と予感が的中して納得顔だ。

チームは7月2度目の3連勝で3カードぶりの勝ち越しを決め、首位を死守した。これで94年以来29年ぶりの甲子園巨人戦6連勝だ。勝負の夏。苦しみからはい上がった背番号8が、再び主役の座を取り戻しそうな気配だ。【古財稜明】

▽巨人高梨(1点リードの7回1死一、二塁で登板も1/3回を2安打2失点。17試合ぶりに失点し)「もったいないやられ方だった。球種のチョイスに悔いが残る。今日の反省を踏まえて次の投球をしたい」

▼阪神が甲子園で巨人に6連勝したのは、94年7月7日から9月3日にかけて6連勝して以来、29年ぶり。なお2リーグ分立後の連勝最長は79年6月22日~9月5日の7連勝で、27日も勝てばこれに並ぶ。