オリックス山崎福也投手(31)が、プロ9年目で悲願の10勝に到達した。ポストシーズンを戦う可能性を残すソフトバンクを相手に。8回を5安打無失点。持ち前の好守でピンチを切り抜け、ついに2桁星。チームに阪急時代の1956年以来の83勝をもたらした。

「いろんなことありましたけど、やっぱり今日こうやって2桁勝てたんで良かったです。勝つというのは点が入らないと勝てないので。打ってくれた野手に感謝です」。うれしい記念日に、まず仲間への思いを口にした。

今年6月、ヤクルトとの交流戦で遠征した神宮で、日大三(東京)時代の恩師、小倉全由前監督(66)と対面。中学3年冬に脳腫瘍を発症。大病を乗り越えて入学した山崎福を、恩師は「山ちゃん」と呼んで大事に育ててくれた。教わったことは数え切れない。中でも「だめなものはだめと。真っすぐに生きていかないといけないなと思いました」。人としての生き方を教えてくれた。

豊かな潜在能力を登板結果につなげられず試合序盤でKOされ、悔し涙をこらえながら1人ぼっちで帰阪した日もあった。乗り越えられたのは、恩師に鍛えられた芯の強さがあればこそだ。「ほめすぎですけど、10勝にふさわしいピッチングだったと思います」。今を見守る中嶋監督も最大級の賛辞を贈る好投だった。【堀まどか】

▽オリックス山崎福也がプロ入り9年目で初の10勝に到達。オリックスではすでに山本が15勝、宮城が10勝を挙げており、2桁勝利が3人となった。球団での2桁勝利3人は11年の寺原12勝、金子千10勝、西10勝以来、12年ぶり。

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