<神奈川大学野球:桐蔭横浜大12-0横浜国大>◇第5週第1日◇7日◇関東学院大ギオンパーク

高校時代は無名だった左腕が、ドラフト戦線を熱くする。

神奈川大学野球の秋季リーグ戦が7日、横浜市の関東学院大ギオンパークで行われ、ドラフト1位候補に挙がる桐蔭横浜大の最速153キロ左腕、古謝(こじゃ)樹投手(4年=湘南学院)が、6回2安打無失点10奪三振の好投で勝利に導いた。国内7球団スカウトの前で、横浜国大に7回コールドで先勝。26日に行われるドラフト会議とリーグ優勝に向けて、全力で腕を振る。

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「古謝」の名をとどろかせる。父親が沖縄出身で珍しい名字の左腕は初回、ボール先行で得点圏に走者を置いたものの、2回以降はこの日最速146キロの直球と落差のあるツーシームを投げ込み、1度も三塁を踏ませなかった。

この日は7球団11人のスカウトが視察。西武渡辺GMは「ピッチャーとしていろんなスキルを持っている。(上位に)当然入ってくると思う」。オリックス上村スカウトは「立ち上がりはあまり良くなかったが、修正していたので心配していない」といずれも高評価だった。古謝は「2回以降は自分の思い描いたピッチングが出来た」とうなずいた。

大舞台で一気に注目を浴びた。湘南学院時代は神奈川大会8強が最高成績で、甲子園に出場経験はない。今春の全日本大学野球選手権初戦、仙台大戦で自己最速を2キロ更新する153キロを計測し、9回まで5安打無失点に抑えた。チームは延長タイブレークで敗戦したものの、鮮烈な全国デビューを飾った。

上の世界では学ぶことがたくさんあった。大学日本代表にも選出され、今夏の日米大学野球選手権では米国と対戦。自信のあった直球が簡単にバットに当てられファウルで粘られた。「秋は真っすぐ1本じゃ通用しない。変化球をどう投げたりとか、自分自身の投球術が試されると思った」と自身の投球を見つめ直すきっかけになった。

東洋大・細野ら日本代表として戦った仲間は良きライバルだ。「東都リーグだったり6大学のピッチャーには負けたくない」。まずは神奈川大学の頂点に立つために、エースとしてチームをけん引するつもりだ。【星夏穂】

◆今秋のドラフト1位候補 大学生投手が豊作で、目玉になる。左腕では桐蔭横浜大・古謝と、最速158キロを誇る速球派の東洋大・細野晴希(東亜学園)、国学院大・武内夏暉(八幡南)は最速153キロで低めへのコントロールが抜群。右腕は、真っ先に青学大の最速155キロ常広羽也斗(大分舞鶴)の名前が挙がる。キレのある直球とフォークが武器だ。青学大2枚看板のもう1人、最速155キロの下村海翔(九州国際大付)は安定感◎。亜大の草加勝(創志学園)は最速153キロで、制球力に定評がある。クイックのフォームが特徴的な中大・西舘勇陽(花巻東)、専大・西舘昂汰(筑陽学園)も本格派だ。捕手では上武大・進藤が頭1つ抜けている。高卒3年目を迎えたENEOS・度会■(■は隆の生の上に一)輝外野手(横浜)の打撃力は抜群。高校では大阪桐蔭・前田悠伍投手、まだプロ志望届を提出していない花巻東・佐々木麟太郎内野手の動向にも注目が集まる。