上武大のドラフトNO・1捕手・進藤勇也(4年=筑陽学園)がドラフト前のリーグ戦最終戦で、全勝優勝を決めた。大学日本代表の正捕手も務める強肩強打。10球団のスカウトの前で、あらためてその評価の高さを証明した。

8回無死満塁のピンチに1年生の木口永翔投手(筑陽学園)がマウンドに上がると「木口は上体が突っ込んで腕が小振りになって球がこなくなる。腕を弾くジェスチャーをした」と、経験の浅い1年生投手を盛り立てた。直球、直球、スライダーで3者連続三振。「スローイング、ブロッキング、立ち居振る舞いが自分の魅力」と胸を張った。

今秋は9試合で打率1割6分7厘と打撃が振るわなかったが「一番最悪なことは、打撃の調子がリード面に影響すること。守備面で崩れるのはあってはいけない」。今夏はスローイングをより上から投げるフォームに修正。正確な送球を追求した。

日本ハムの大渕隆GM補佐兼スカウト部長は「守備は間違いない。素晴らしい。肩の強さはもちろん、ディフェンス面は何も欠点がない。テンポ。配球。信頼できる」。DeNAの八馬幹典アマスカウトグループリーダーは「肩も強いし、ブロッキングもうまい。ディフェンスの能力は高い。捕手の候補の中ではトップ。レベルが高い」といずれも高い評価を示した。

春季リーグ戦は白鴎大に敗れ6季連続優勝を逃した。「チームを1から立て直した」と、寡黙な男が、コミュニケーションを第一に掲げチームメートとの会話を重ね心を通わせた。今リーグ戦は打撃が振るわず「チームのために何ができるかを考えた」と、守備や声かけに徹した。谷口英規監督(54)は「進藤は悩んでいたと思う。ずっと難しい顔をしていた。今日ぐらいは優勝で笑顔が見られましたね」と、チームメートの中で喜ぶ進藤をあたたかく見つめた。

大学最後のシーズンは頂点を目指す。「神宮大会に乗り込んで優勝を目指します」。ドラフト、そして神宮大会へ。進藤の目は常に上を見つめている。【保坂淑子】