サブちゃん野球で王手!! 広島新井貴浩監督(46)が「2023 JERA クライマックスシリーズ セ」で振ったタクトに、広島ナインがグラウンドで舞った。DeNA東に苦戦しながら犠飛で1点差とし、8回は足を絡めて無安打で同点。先発の柱の九里も投入する継投策を見せると、延長11回は先発から外れたベテラン秋山がサヨナラ打で勝負を決めた。球団5年ぶりのCSはお祭りムードの幕開け。ファーストステージ突破へ王手をかけた。

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背走した中堅手の先に白球が弾むと、広島ベンチは空っぽとなった。延長11回裏2死一、三塁から秋山がサヨナラ打。新井監督は選手に続きながら野球少年のように何度も跳びはね、喜びを爆発させた。ベンチに残る選手や首脳陣を殊勲者のもとへうながし、二塁ベース付近には大きな歓喜の輪ができあがった。

「打てなかったらどうしよう、打たれたらどうしようとか、考えなくていい。北島三郎さんでいくよ。“まつりだ、まつりだよ~”」

CS初出場の選手も多い初戦の試合前、指揮官はいつもと変わらぬ明るさで、グラウンドに向かう選手の背中を押した。試合終盤までリーグ最多勝の東に苦戦。3回1死二、三塁の好機で先制点を奪えず、両軍無得点の6回には先発床田が先制2ランを被弾した。それでも、その裏に連打から3番西川の犠飛で1点を返すと、8回には指揮官のタクトが踊った。

先頭の四球から矢野の犠打で二塁に進んだ代走羽月が、1番菊池の初球に好スタートから三盗を成功させた。さらに3球目。スクイズのサインで菊池が高めの難しい球をきっちり転がし、無安打で同点に追いついた。戦前から予告していた足攻と積極采配に、途中出場の選手たちも躍動した。

6回途中から継投でつなぎ、延長10回からは先発の柱の九里も投入した。最後は今季打線を引っ張りながら、東との相性から先発を外れた秋山が試合を決めた。大トリの一打に「いいところで回ってきて結果が出たので、喜びもありますけどホッとしたところもあります」と安堵(あんど)の表情だ。

接戦に持ち込み、全員野球での逆転勝利。“これが広島の野球だよ~”と歌い出さんばかりのファミリー一丸で、ファーストステージ突破に王手をかけた。新井監督はしたり顔で「みんなが役割を分かった上で、各自やってくれた」とスタンディングオベーションを送った。【前原淳】

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