“最強投手世代”と言える今年のドラフト。即戦力の大学生投手が、上位にずらりと並びそうだ。

前日までに2球団が1位指名を公言した左腕、国学院大・武内夏暉投手(八幡南)はさらに重複すると見る。最速158キロの東洋大・細野晴希投手(東亜学園)は公言こそなかったがポテンシャルは高い。球の力強さがあり、1位で消えるだろう。

右腕では、青学大・常広羽也斗投手(大分舞鶴)の1位指名を公言している広島のスカウトは「くじ引きがあるでしょう」と覚悟する。巨人が1位指名が濃厚な中大・西舘勇陽投手(花巻東)も、競合になる可能性が高い。

19年ドラフトの“佐々木朗(ロッテ)奥川(ヤクルト)世代”から4年を経てもなお、投手が豊作だ。武内、細野、常広、西舘に亜大・草加勝投手(創志学園)、青学大・下村海翔投手(九州国際大付)を加えた「東都1部6人衆」が上位指名の中心となるだろう。西舘と草加以外の4人は、甲子園未出場。聖地に立てなかった悔しさを抱え、大学での4年間を経て飛躍した選手たちだ。

投手陣でジョーカー的な存在になりそうなのが、大阪桐蔭・前田悠伍投手。どう評価されるのかに注目だ。即戦力投手が指名される中に割って入る可能性は十分ある。

一本釣りを狙うなら、中日がENEOS・度会隆輝外野手(横浜)を公言したように、野手が狙い目だ。大学日本代表の正捕手を2年間任された上武大・進藤勇也捕手(筑陽学園)は強肩強打の捕手。内野手では、上田西・横山聖哉内野手が守備範囲が広く、打撃センスも抜群で将来性がある。

絶対的な候補がいなかった昨年は、前日までに9球団が1位指名を公言。結果的には“先手必勝”で、発表していた球団が交渉権を獲得した。打って変わって今年は、即戦力投手の逸材が多い。各球団の戦略が、1位指名に濃く現れるだろう。【アマチュア野球担当=保坂恭子】