西武は14日、山川穂高内野手(31)が国内FA(フリーエージェント)権を行使したと発表した。15日に「FA宣言選手」として公示される。

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FA権を行使するかどうか表明できる、その最終日となった11月14日。関東地方の明け方はこの冬一番の冷え込みとされた。

動向やいかに。朝9時半に埼玉・所沢の球団施設に到着。山川が訪れそうな導線を想定し、1人で待つ時間がけっこう長かった。西武の選手や首脳陣、関係者にあいさつするたびに、何度も聞かれた。

「山川、どうなった?」

「まだ連絡ないの?」

「山川さん、FA宣言するんですか?」

この日の秋季キャンプもとうに終わった午後4時半過ぎ、日没後にも「本当に何も連絡ないんだよ」と心底困惑した表情で帰路につく人がいた。

渦中の山川は熟考に熟考を重ね、結論は午後5時台に球団に届いたという。発表は同6時半すぎ。

一般的には「○日まで」と期限を設定された時、午後5時はもう終業の域になっている場合が多い。山川はその点を「ご伝達が遅れたことを…」とわびたものの、自身の不祥事に続いて今回も結果的に周囲を振り回している。1年間、一連の騒動を経ての、最後の最後での行使。ファンも心中穏やかではないだろう。

この数週間で耳にした、複数の証言を総合する。

山川に対しては「行使せず西武残留」を勧める声も一定数あったという。一方で山川は野球選手としての成長を求めていた。複合的な要素に熟考を重ね、今回はその上での結論だ。

山川は-。冒頭の声の数々には心配も感じたが“好奇”も節々に感じた。少なくない批判とともにこれからもつきまとう。

山川自身、懐は広い。後輩からの信望は厚い。あまり隠すことなく自身の多くを話すから、たまには誤解もされる。あくまでも主観ながら、騒動の前後で人柄の印象は極端には変わっていないと感じる。大きな決断を経て、さて。これからも人々は見ている。【西武担当 金子真仁】