出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させる「現役ドラフト」が8日に非公開で行われ、ソフトバンクは日本ハムから長谷川威展(たけひろ)投手(24)を獲得した。今季はイースタン・リーグで中継ぎながら8勝0敗で最多勝のタイトルを獲得した変則左腕。4年ぶりV奪回へ、手薄だった左のリリーフ補強を敢行した。ソフトバンクからは水谷瞬外野手(22)が日本ハムに移籍し、「1対1トレード」の形になった。

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ソフトバンクがイースタン・リーグの最多勝左腕を獲得した。昨年に続く第2回「現役ドラフト」で日本ハム長谷川を指名。三笠杉彦取締役GM(49)は「左のスリークオーターで中継ぎとして。我々はあまり層が厚くないところですので、チャンスがあると思います」と期待を寄せた。

変則なフォームは、今季までDeNAでプレーしていたエドウィン・エスコバー投手(31)をほうふつとさせ、「たけひろ」の名前にかけて「タケコバー」の愛称を持つ。2年目の今季は2軍で34試合に登板し、8勝0敗、防御率3・00。全試合がリリーフ登板だったが、最多勝を獲得した。勝負どころでチームに流れを呼び込む投球が持ち味。11月のNPBアワードで表彰され、「スライダーが得意。スライダーでどんどんカウントも空振りも取れるところだと思います」と力強く答えていた。1軍では通算11試合で0勝0敗、防御率0・87。プロ初登板は22年3月26日、くしくもペイペイドームで行われたソフトバンク戦だった。

ソフトバンクにとってリリーフ左腕は補強ポイントだった。長年ワンポイント起用が主戦場だった嘉弥真は来季構想から外れてヤクルトに移籍。セットアッパーだったモイネロは先発に転向し、笠谷も先発に挑戦する。守護神のオスナをはじめ、盤石なブルペン陣を誇るが、左腕は手薄な状態だった。一方で、ソフトバンクからは水谷が日本ハムに移籍。偶然にも「1対1の交換トレード」の形になった。

長谷川は日本ハムを通じて「ファイターズファンの皆様に活躍している姿を見せられるようにこれからも頑張ります」と新天地での飛躍を誓った。のびしろたっぷりのサウスポーが、北の大地からやってくる。【只松憲】

◆長谷川威展(はせがわ・たけひろ)1999年(平11)8月9日生まれ、埼玉県出身。花咲徳栄、金沢学院大を経て21年ドラフト6位で日本ハム入団。花咲徳栄では2年時に野手から投手に転向。チームは3年夏に清水達也(中日)や西川愛也(西武)らを擁して全国制覇したが、自身はベンチに入れなかった。日本ハム野村は同校の1学年後輩。今季推定年俸は710万円。178センチ、85キロ。左投げ左打ち。

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